まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『朝日奈さんクエスト センパイ、私を一つだけ褒めてみてください』感想

朝日奈さんクエスト センパイ、私を一つだけ褒めてみてください (ファミ通文庫)

ストーリー
ぼっちはリア充を凌駕する!! ネトゲ世界に入り浸り、世界中のプレイヤーとコミュニティを築いている僕が言うのだから、間違いない。しかし、そんな僕の計画的ぼっちリアルライフに現れ「現実もゲームと同じクエストの連続でとても楽しいですよ!」と言い放ったのは、スクールカーストの頂点を極めしリア充JK、朝日奈舞! さらにやつは「そんなセンパイに人生攻略の仕方を教えてあげますよ♪」と僕の人生に介入してきたのだ。そこまで言うなら教えてもらおうじゃないか。楽しい人生攻略方法というものを!!

壱日千次先生の新作じゃーい! 何があっても読まねばならんのじゃーい! ということで読んだ!!
ぼっち大学生の主人公がネット友達のリア充JKの薫陶を受け、リアル友人の作り方や恋人の作り方を学んでいくリア充教育ラブコメディ。
読みやすい、可愛い、楽しいの三拍子揃った綺麗なラブコメで良かったです。主人公にべた惚れの年下ヒロイン最高なんじゃー。


「ひとり至上主義」を標榜する大学1年の草一。ネット上には友達がいるものの、リアルでは1人も友人を作ったことがないという筋金入りのぼっち。
そんな彼が初めて参加したオフ会のお相手は、「いっしょ至上主義」を掲げるリア充JKの朝日奈さんだった!
朝日奈さんとのデートで見た目を整え、話し方や姿勢を改善し、大学で友人を作り、サークル活動にも参加!
めっちゃトントン拍子でお前どこが非リアやねん、本当の非リアの恐ろしさを教えてやろうか……という感じだけれど、このテンポ感が実に壱日作品らしくていいんだよなぁ。
一方で、壱日先生といえば! と期待してしまうギャグ要素はちょっと抑えめ。まあキャラクターが色々さらけ出してからが本チャンという部分もあるので、そのあたりは今後に期待でしょうか。あ、暴走気味の朝日奈さんのモノローグには声あげて笑いました。


なんといっても朝日奈さんが可愛いのですよ! 出会った直後こそ、ネット上では好きだったけど実際に会ったらダサさにちょっと……みたいなことを言っていたにも関わらず、センパイを応援する中で結局草一が好きなことに気付いちゃう一途な恋する乙女……可愛い……可愛すぎない?
リア充への道の一環で草一の恋を応援する段になってから、草一にも憧れの先輩がいると知って後悔して、でもやっぱ好きだからちょっと色仕掛けに挑戦してはあとで一人で真っ赤になったり、思い切って告白しかけてはヘタレ全開で日和ったり、逆に草一に告白を急かしちゃって早く玉砕して私を好きになれー! みたいなことを思っては自己嫌悪に陥ったり、とてもリア充の師匠役とは思えない迷走っぷりが最高です。
草一の方もまだまだリア充力が低いから、周囲は朝日奈さんの気持ちに気付いているのに草一だけ気付けていないんだよなー! まったくこれだからなー!
総じてとても楽しいラブコメディでした! 朝日奈さんだけでなく、他の友人やサークル仲間もなかなか魅力的な布陣になっているので、ぜひともシリーズ化してほしいですね!


イラストはU35さん。朝日奈さんのイラスト大盤振る舞いで大歓喜
やっぱヒロインは赤面してナンボなんですよ(鼻息も荒く)。


ラストの葵のイラストが意味深。

『ワーウルフになった俺は意思疎通ができないと思われている 1』感想

ワーウルフになった俺は意思疎通ができないと思われている 1 (HJ文庫)

ストーリー
ある日、目覚めたら異世界ワーウルフに転生していた竜之介。しかもワーウルフは人間はおろか他の魔物とも意思疎通ができない種族だった! 超ハードモードな状況に戸惑う竜之介だが――「……わたしと一緒に、テイムロイヤル、出てほしい」テイマーを目指す美しいお嬢様・エフデを救ったことで、彼女のパートナーとして生活することに! しかしこのお嬢様、名家出身のはずが貧乏でバイト三昧と、何やら訳ありのご様子……!? 言葉はなくても心でつながる異世界ワーウルフ転生譚、開幕!

皆のもの出合え出合え、比嘉智康先生の新作じゃ! 祭りじゃ! フェスティバルじゃ!
ということで久しぶりに出た新作は、言葉を話せないワーウルフに転生してしまった少年が心優しい少女のテイムモンスターとして彼女を守るために励む異世界ほのぼのファンタジーコメディ。
言葉を交わすことができなくても主人公に温かく接してくれるヒロインとのやりとりにほっこりする一方、ところどころで比嘉作品らしい妙なセンスが光っていてニヤリとする一作でした。


ファンタジー世界にワーウルフとして転生した主人公の竜之介。ところがこの世界のワーウルフは人間と意思疎通ができないとされるモンスターだった!
お互いに言葉が理解できないのではなくて、竜之介だけが一方的に人間の言葉を理解できるというのがミソ。どうにか意思を伝えようとする竜之介と、その行動をワーウルフのおかしな習性と勘違いする周囲とのくいちがいぶりが可笑しい。
パートナーとなった少女エフデとともにテイムモンスターの大会に出たり実は貧乏令嬢だった少女のために金を稼いだり……話の表面だけなぞるとわりとベタな展開ながらも、なぜか競馬用語が頻出したりやたらムカデ推しだったりと要所要所で独自性を感じさせるセンスはやっぱり比嘉智康!! って感じで笑っちゃいます。クセが強いんじゃ。でもそこがいいんじゃ。


たまたま出会ったワーウルフに愛情たっぷりに接してくるエフデの可愛らしさ、いい人ぶりは言わずもがなですが、なんだかんだで竜之介改めキズナもめっちゃいい奴ですねこれ。
目立つヒーローになるのではなく、自分の守りたい少女のために影となって動く。なんて出来たオオカミ……!
もっともその過程でさくっと何人ものヒロインとフラグを立てている感もあるので、どこかでハーレム展開も出てくるのかしらと楽しみなところ。
個人的にはパリピちゃん一押しですね! サブヒロイン枠に期待!


イラストは福きつねさん。キャラクターの表情が豊かで楽しいイラストでした。
ブレイク様の唖然顔すき。


あとがき読んでグッときちゃったよ。マジで応援してるよ。

『転生王女と天才令嬢の魔法革命』感想

転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)

ストーリー
幼い時に前世の記憶を取り戻した王女・アニスフィア。魔法が使えないため貴族からの評価は低いが、独自の魔法理論を作り、一人で研究を続けていた。彼女はある時、天才公爵令嬢・ユフィリアが次期王妃の座から外される場面に遭遇する。アニスフィアが彼女の名誉を回復するために選んだ方法は、一緒に住んで魔法の研究をすることで!? 「ユフィ、私と一緒についてきてくれる?」「望んでくれるなら、どこまでもお供します。アニス様」キテレツ転生王女とクール天才令嬢との出会いが国を、世界を、二人の未来を変えていく。王宮百合ファンタジー開幕!

前にWeb版の第1章までを読んでいたのですが、書籍版も結構違うよと言われたので読んでみました。
魔法に憧れつづけた結果破天荒な研究家になってしまった王女様と、彼女によって王子による一方的な婚約破棄から救われた魔法の天才の公爵令嬢が、ともに手を取り合い魔法の発展のために歩んでいくふんわり百合ファンタジー
王妃になるために自らの意思を持つことを戒めてきた令嬢が、何かと無茶苦茶な王女様に振り回されて次第に心を開いてゆく姿が愛おしく、ほっこりします。


未来の王妃として王子と婚約していた公爵令嬢・ユフィリア。しかし彼女は王子によって見に覚えのない罪を着せられ、婚約破棄を突きつけられてしまう。
そんな断罪シーンに文字通り飛び込んできたのが破天荒な言動で毎日王国を賑わすハチャメチャ王女様・アニスフィア。颯爽とユフィリアをさらってみせたアニスフィアは、自分の「魔学」の助手として彼女をスカウトする……というところから物語は始まります。
今作の見どころはなんといってもアニスとユフィの凸凹コンビによるふんわり百合展開ですね。
自分の思うままずんずん進んでいくアニスと、王女に振り回されて困惑しながらもだんだんと彼女のことを理解していくユフィが、お互いの手を取り合って王国のため民のために歩んでいく姿がとてもよろしい。
パッと見は窮地に立たされたユフィをアニスが救った形ですが、実はアニスにとってもユフィとの出逢いは大きくて。単純に助手としてだけではなく、天才であるために周囲から誤解されがちなアニスの理解者として(もちろんイリアがいるけれど、年の近い友人としての)ユフィの存在はとても大きいと思います。


王女でありながら上級冒険者としてモンスターの群れに突っ込んでいくアニス様かっけえなあ。王国を襲おうとするドラゴンに唯一の飛行戦力として立ち向かう姿ときたら、とても一国の王女とは思えないほど。
何がそこまで彼女を突き動かすのかといえば、ただひたすらに魔法への、魔法使いへの憧れでした。
もはや狂気にすら見える彼女の魔法への渇望。ほとばしる情熱とエネルギーに満ちた王女が、頼りになる相棒とともにどんな新しい世界を作っていくのか。これからの展開が楽しみです。


イラストはきさらぎゆりさん。ユフィが可愛い。イリアも可愛い。さすがアニス様、女の趣味がいい(笑)。
ドラゴンとのバトルもちゃんとイラストになっていて嬉しい。


目下一番気になるキャラクターはアルガルド王子。