まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ティアムーン帝国物語II~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』感想

ティアムーン帝国物語II~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

ストーリー
「――来てますわ、波が!」処刑台から12歳に逆転転生【タイムリープ】した元わがまま姫ミーアは、調子に乗っていた。かつての記憶と周囲の深読みで、飢饉時の小麦確保や内戦回避に成功し、ついに前世の日記帳ごと「処刑」の二文字が消えたからだ。だが、呪縛から解き放たれて小躍りする彼女の下に、凶報が舞い込む。想い人である王子アベルの国で革命が勃発したというのだ。危険を冒して救助に向かうべきか、我が身の保身か……? 変わり始める未来を前に、彼女が下す「最初の選択」とは? ポンコツ姫よ行け、 ギロチン回避のその先へ! 運命に抗う一世一代の歴史改変ファンタジー第2巻!

前世で断頭台へのきっかけとなった地方貴族と少数部族とのイザコザ。そして恋人アベル王子の国で巻き起こる武力蜂起。
次々にやってくる重大事件を、周囲の人々を全力で巻き込んで思う存分やって、結果的に解決に導いてしまうミーアのアグレッシブさが心地いい。
にしても、ミーアがいい子なのかそうでもないのか読めば読むほどわからなくなってくるな……。


飢饉に備えて小麦の輸入ルートを確保したり、森に住む部族との衝突を防ぐためにその身で直接地方へ赴いたり。
成した事柄だけ見れば実に立派な姫様なのだけど、本心ではただひたすら自分の保身を考えてるだけだというのが相変わらず可笑しい。
メイドのアンヌに対する愛情や、貧困地区の子どもへの対応なんかを見ていると、決してわがままなだけでもないし心優しい部分も大いに持っているとは思うのですが、いったいどこまでがその優しさでできているのかいまいち見えてこないのが、独特な主人公像だなあと思います。同じように、本当にポンコツなのか地頭はいいのかもなかなか見えてこないし……。
でも、森に控えた軍を引き上げさせるための咄嗟の策は、珍しくまっとうにハマっていて良かったですね。時々こうやって冴えたところを見せてくれるから、やっぱり秘めた才能があるんじゃないかなと期待してしまうのですが。


自分の断頭台を回避したかと思いきや今度はアベル王子の国で革命が。帝国皇女として外側から動かしていくのかと思いきや、めっちゃ愚直に自ら潜入していくやん!行動力の化身か!
まあ皇女としてはどうかとも思いますが、愛する人のために危険を顧みず動いていけるのは素敵なことですし、かつての仇敵たるシオン王子やティオーナたちにまっすぐ協力をお願いしてみせたのにもちょっとグッと来るものがありますね。嫌いですわとかなんとか言っていても、なんだかんだで交友を深めた間柄なんだということを改めて感じさせてくれる場面でした。
レムノ王国ではドタバタに次ぐドタバタで、正直ミーアがアワアワしている間に解決してしまった感もあるのですが、過去に彼女が撒いた種があちこちで花開いた結果と考えればまあ、ミーアのおかげと言えなくもない……かな?
第一部完ということで次はまたガラリとお話が変わるようですね。ミーアのさらなる成長に期待です。


花を愛でるミーア姫(演技)、完全に美少女だ……(見た目は)。