まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ネクラ勇者は仲間が欲しい

ネクラ勇者は仲間が欲しい (ファンタジア文庫)

ネクラ勇者は仲間が欲しい (ファンタジア文庫)

ストーリー
冒険パーティを夢見ながらも、ネクラのために他人に上手く声もかけられないぼっち勇者・クラム。
ある日彼は、たまたま出会ったロリエルフ・ミーチカの窮地を救ったことがきっかけで仲間作りを手伝ってもらうことに。
しかしクラムの周りに集まってくるのは、なぜか残念ぼっちをこじらせた冒険者ばかりで……。



ネクラでぼっちな残念勇者の周りに残念な仲間たちが集まってくるファンタジーコメディ。
それぞれ実力は凄い(色んな意味で)のに、とことんアレなキャラクター陣のやりとりは見ていて楽しいですね。
主人公がここぞというところで格好良いのもベタだけれど熱くて良かったです。


魔王の呪いと賢者の魔法により、ダンジョンに一度に5人まで入ることが許された世界が舞台。
魔王を倒すために戦う冒険者たちに当然推奨されるのは、バランスの取れた5人パーティ。しかし主人公のクラムは、そのぼっち気質ゆえにロクに人に声をかけることもできず、延々酒場で仲間を探し続けている残念勇者です。
そんな彼にようやくできた仲間未満の……飲み友達? なロリエルフ・ミーチカの助力を得て、なんとかパーティを構築しようと奔走するわけですが……。
いやあ、次々と集まってくる仲間たちの残念っぷりが楽しいです。まずクラム自体が相当残念ではあるんですけど、気ばかり大きいお子ちゃまエルフ(150歳)のミーチカとか、男性同士のカップリングに命をかける邪教の僧侶・ダウリナとか、クラムに輪をかけて残念なメンバーばかり! むしろクラムがツッコミに回っちゃうレベル!
そもそもクラムは硬派な野郎パーティを目指していたはずなのに、集まってくるのは見た目だけ完璧な美少女(残念)ばかりで、どうしてこうなってしまったのか。いや、ある意味すごい勇者力ではあるけどさ!


ミーチカにダウリナ、実は魔王の娘だったりするドS盗賊のルージェ、とある秘密を持つ《光の剣帝》ことセラ……等々というメンツとともに、街コンならぬダンジョンコンパ(略称はお察しください)に参加するクラム。
みんな基本スペックはえらく高いのに、中身が残念すぎる一同……。特にクラムは、あまりにぼっちすぎて気付いていないけれど世間で《影の剣王》とあだ名されるほどの実力者だったりもして、素直にその力を表に出せればねえと思わずにはいられない。
でもいざという場面では、きっちり決めてくれたりもするわけで、悔しいけれどそのギャップが格好良いのでした。他のメンバーもね。
クラムのもとに自然に集まってしまった5人。クラムはこの5人でパーティを組む気はさらさらないみたいだけれど、このメンバーで組んだら、きっと最強になれると思います……人間性の面でパーティ崩壊とかにならなければ(笑)。この凸凹な5人が次はどんな事件を巻き起こしてくれるのか、次巻が楽しみですね。


イラストはROZERさん。でかい。
誰の何がとは言わないけれど、でかい。……でかい。


ぶっちゃけセラの秘密って口絵で丸わかりだよねこれ!