まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

竜の娘と女勇者とダンジョンが俺の日常に馴染んでる!

ストーリー
平和に暮らしたい高校生・加賀良の元に、父親が書いた手紙を持つ謎の美少女・コーがやってくる。
自分のことをシルバードラゴンだと言い張る彼女は、いつの間にか世界で異世界で勇者をしていた父親に助けられたのだという。
しかも父親からの手紙には「この娘と結婚しろ」とわけのわからないことが書いてあって……。



一迅社文庫大賞2014<銀賞>受賞作品。
いきなり家にやってきたシルバードラゴン(美少女)と結婚を前提に同棲しちゃう、ちょっとファンタジックな賑やかコメディ。
押しかけヒロイン(しかも2人)と同棲したり、なんだかんだで魔族の少女とバトルをしたり、ストレートにライトなノベルをやってるな、という印象の新人賞作品ですね。
派手さはないものの、だからこそストレスなく、読みやすく、なんとなく読んでなんとなく楽しめる。これはこれでよいものです。


ある日、高校生の主人公・良の元にやってきたのは、自分のことを「シルバードラゴンだ」と言う謎の美少女・コー。
しかも探検家の父(知らない間に異世界で勇者になってた)の直筆の手紙で、「この娘と結婚しろ」という手紙を持って……。
ということで、ド直球押しかけ系ボーイ・ミーツ・ガール、同棲もあるよ! な物語の始まりでした。
異世界ってどんなところなの、とか、そもそもシルバードラゴンってなんなんだ、とか、そういうのを全部ほっぽり出して、とりあえず可愛い女の子がうちに来た! やったね少年! という勢いの展開が清々しいです。そのノリで女勇者もやってきますしね(笑)。


なしくずし的に始まる、竜の娘・コーと、女勇者・舞風との同棲生活。コーの事情はほとんど分からないし、舞風の方も、吸血鬼を討伐するという使命を負っているわりにはまったりした生活ぶりで、ほんわかした日常風景がまったりと描かれます。
寝て起きて買い物に行って「パヤング」を食べて、時々、実は町の地下深くにあったらしいダンジョン(!)に行って。
一応、最後の方では魔族が本気で人間を滅ぼそうとしたりもしてきたんだけれど、どうも緊張感がないというか、全体的にユルい。ヒロインのせいだかなんだか分かりませんが、まあとにかく、このユルさがなんとも言えず好きでした。
バトルでは、普通の人間である良が戦うための方法が、ちょっと特徴的でしたね。限られた枚数の「攻撃」と「防御」のお札を使って戦うやり方は、バトルに戦略の幅ができて面白いなと思いました。
事件は一段落したものの、結局「結婚」の理由も、コーの詳しい事情も、良の力のことも、ほとんど語られないままだったし、その辺は次巻以降で明かされていくのかな。楽しみです。


イラストはいちやんさん。コーとジュエットのキャラデザが対照的で映えますね。
コーのドラゴンモードのイラストもぜひ見たいです。


しかしタイトルのわりにダンジョン要素が薄すぎるのでは……?