まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

バーガント反英雄譚2 泣けない皇帝と剣聖少女

ストーリー
隣国シャンミュニ皇国の剣聖ティンを守った功績で、騎士叙勲の内定を手にしたシュン。
誤解が誤解を生み、分不相応にも皇国で開催される『統一騎士剣定』の王国代表メンバーに選ばれてしまう。
ソフィーやリュリシアとともに皇国へ向かうシュンだったが……。



表紙の流麗すぎるティンに見とれ、口絵1枚目のティンのエロさについついガン見、口絵2枚目のティンを微笑ましく眺め、口絵3枚目のティンを見てあまりの痛々しさに胸が苦しくなる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか(挨拶)。
いやあ、もはや八割型ティンのために読んでいると言っても過言ではないくらい好きなんですが、今回はサブタイトルにも「剣聖」と入っているし表紙だしで、期待していた通りに大活躍してくれてほくほくでした。もっともっと目立ってくれてもいいんですよ。むしろ主人公でもいい。


舞台は隣国シャンミュニ。素晴らしい国です。皇帝と騎士のトップが両方ロリというあたりが特に素晴らしい。いや、皇帝の方は年齢的にはロリではないか。
エルはなかなかおいしいキャラでしたね。ヒロインとしてもそうですが、何よりティンとの間に流れる主従を超えた絆が良かったです。
敵サイドではヴィオやシラーを操る姉・モニカが登場。まだ話し合いの余地がありそうだったヴィオたちとは違い、これからずっとやり合うことになっていきそうな迫力のある敵役でした。味方でも敵でもいちいち格好の良い姉妹ですな。
姉妹といえばアリアやクロロもしっかり活躍してくれて嬉しい。アリアの世間での立ち位置も明らかになりました。アリアといいティンといい、ずいぶんとあっさり各国の要職に就いているものです。この姉妹、どんだけ才能に溢れているんだ。魔族の血の為せる技ですかね。
しかしこうなってくるとクロロが何をやっているのかが気になってきます。今回は性質上あまり目立たないながらもMVPレベルのはたらきをしてくれていましたが、今後の巻で彼女がメインを張ることはあるのでしょうか。期待したい。


姉妹たちがあれこれ素敵な活躍ぶりを見せてくれる中、肝心のシュンはよりによって「シャチホコ」ですよ。ない。さすがにこれはない。ギャグとしてもない。これならミュスカにゃんの方がずっと面白いよ! むしろミュスカにゃんのシャチホコなら喜んで見るね!
シュンは妙に口が回りますが、曲がりなりにも一国の主を前にしてよくもまあこれだけ適当なことを喋れるものですね。女の子に囲まれて育ったおかげでしょうか。自覚がないあたりが実に罪作り。
《滅神咒具》の効果のせいで最後の最後まで主人公に活躍の場面が回ってこないのはなんとも歯がゆいのですが、そのおかげでティンやソフィーのバトルが存分に見られるのだと思うと、これはこれでとも思えてきます。姉妹全員が主人公みたいなものですしね。
現役の剣聖ティンと元剣聖ヴァントの戦いとか、字面だけですでに熱いじゃないですか。お互いに全力の状態で戦わせてあげたかったな……。


ソフィー、ティンときて、次のメインはどの姉妹になるのでしょうか。もしくはリュリシアですか。ううん、わくわくしてきますね。
とりあえずティンのターンは終わったけれど、出番はしっかり確保してくれますよね。なんてったって最強の騎士ですから! 信じてる!
両親のことやモニカの陰謀など、謎も少しずつ明かされていくことでしょう。シュンの成長にも期待しつつ、次巻を待ちたいと思います。楽しみ。


湯気の向こうにうっすらと。