も女会の不適切な日常3

も女会の不適切な日常3 (ファミ通文庫)

ストーリー
またも日常が改変された結果、愛とラブラブ交際中のリンネ。
さらになぜか、先輩も繭も雛子もリンネにベタ惚れというハーレム状態に。
そこへ、源ひかると名乗る少女が新しく加入して……。


3巻目にして最終巻。もっと読みたいような気もしますが、長く続ければ続けるほど破綻していきそうなストーリーですし、これくらいでちょうどいいのかもしれません。
最後まで作者がやりたいようにやってたという印象の強い作品でしたね。まあさすがに、1巻ほどの無茶はやっていませんでしたが。作者が楽しく、読者も楽しい。なんと健全な小説のあり方でしょうか！
日常ギャグをやっていたはずなのに気付いたらサスペンスになっていて、ふと全体を振り返ると青春恋愛ストーリーだった、みたいな文章の作りは、改めて見ると実に巧妙だと思います。


愛＝メインヒロインの貫禄っぷりが凄い。
変人揃いではあれど美少女たちに取り囲まれて、一時はハーレムまで形成してしまったリンネさんですが、結局最初から最後まで、彼の行動は一貫していましたね。
他の女の子の気持ちを利用してでも好きな女の子を守り切る！　なんという鬼畜野郎！　でもかっこいい！
愛がどれだけ冷たく突き放しても、しつこく追いかけて回るリンネの姿はまさに下僕そのものでしたが、恋愛の形にも色々ありますよね。うん。
歴史改変や時空移動のくだりは、相変わらずなんとなくしか理解できませんでした。まあ、「そういうものなのね」と軽く流してしまえばそれでいいと思います。
しかし今回の仕掛けもなかなかにエグかったですね。リンネさんったら、実は相当の自信家ですね？
了承の上とはいえ、ユーリや千種にとっては特に厳しい作戦だったような気がします。あと、肝心の愛までも見事に傷付けちゃってるあたりに詰めの甘さが露呈。もちろん、リンネが彼女のことを信じていたからこそ行えたことなんでしょうけれども。
恋の駆け引きって難しい。


なんだかんだありましたけど、最終的には綺麗で、後味もよい終わりを迎えてくれました。文句なしにハッピーエンドと言っていいでしょう。愛さん可愛すぎ。
リンネと愛だけでなく、ユーリ、千種、繭、雛子、ひかるといった「も女」の皆々様にも、いつかどうか幸せが訪れますように。でも個人的には、部内で永遠に百合サイクルを続けてくれればいいと思います！
何度も笑い、そして驚かされた作品でした。いやはや、面白かったです。赤坂さんのイラストも素晴らしかったですしね。
終わってしまうのは寂しいですが、またいつか、忘れた頃に読み返したいと思います。


繭と雛子の百合百合外伝……とか、出てくれても、私は一向に構わないのですよ？