まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

覇剣の皇姫アルティーナ

覇剣の皇姫アルティーナ (ファミ通文庫)

覇剣の皇姫アルティーナ (ファミ通文庫)

ストーリー
剣も弓も苦手で、本ばかり読んでいる落ちこぼれ軍人のレジス。
左遷された辺境で、彼は運命を変える少女・アルティーナと出会う。
皇姫でありながら辺境軍の司令に任じられていた彼女は、とある大望を抱いており……。



タイトル、表紙、帯、そしてあらすじの「覇道戦記ファンタジー」に惹かれて手に取りました。元々ファンタジーには目がないのですが、最近特に「戦記」の文字に弱いような気がしますね。
面白かったです。辺境に飛ばされた、しかし確かな才能を秘めた、姫と軍師の出会い。ううん、これだけでテンションが上がってしまいますね。
物語自体はまだプロローグの様相ですが、ストーリーが進んでいくにつれて、これからどんどん勢いを増していってくれそうな予感がします。


大剣を振り回すお姫様。それは永遠のロマン。
アルティーナは素晴らしいヒロインでした。まだ14歳にもかかわらず、国を変えたいという目標にまっしぐらで、その分ひとりで突っ走ってしまったり、周りがよく見えていなかったりということもあって、放っておけずについ手を貸したくなってしまう女の子ですね。
皇帝の娘なのに、辺境の司令官にさせられて、しかも現場の者たちからはお飾りと思われているという境遇も、彼女を応援したくさせるのに一役買っているでしょうか。
ひとりきりで何もできない状況の中、彼女がついに出会ったパートナーが、主人公のレジス。
お姫様だろうがなんだろうが、女の子からこんな風に目をかけられて、奮い立たずにいられようか。いや、そうせざるにはいられない。


自分の未来を託す相手として、レジスを選んだアルティーナ。
一方、そんな皇姫を相手に、自分に自信が持ちきれていないレジス。
レジスの気持ちも当然です。まだ彼は軍人になったばかりですし、出会って間もない14歳の少女から一方的に信じると言われても、困ってしまうだけですよね。
相手を信じるという行為は、その相手を選んだ自分を信じるということでもあります。
逆に、相手が自分を信じてくれてると認めるには、その相手を信じていなければなりません。
この作品では「信じる」がキーワードになっていたわけですが、では、自分を信じてもらうために、アルティーナが何をしたか。
ああまったく、無茶がお好きなお姫様ですね。まあ、まだ子どもですしね。これくらいの無茶はね。
誰も彼女を信じていない状況から抜け出すには、この程度の勝負に出なければならなかったというのも確かです。
もちろん、信じてもらえるだけの強さがあればこそ、そして、勝てるという自信があってこその話ですが。
信じるというのは、もしかしたら、その対象に力を与えるということなのかもしれませんね。


物語はまだ始まったばかり。戦闘らしい戦闘もなく、軍師・レジスの才能も、まだ片鱗をのぞかせただけに留まっています。
今回で舞台設定が整いましたから、あとは、舞台の上でキャラたちが暴れ回ってくれるのを待つばかり。
レジス、アルティーナ、そしてなんだかんだ憎めないジェローム
彼らが、どのように戦い、どのようにして国を変えていくのか。今からわくわくが止まりません。次の巻も楽しみです。


イラストはhimesuzさん。何と言っても表紙が素敵ですね。
アルティーナは、可愛さと格好良さが同居しているので、イラストごとに色んな顔が見られて嬉しい。


巻末の世界紹介が地味にありがたいですね。痒いところに手が届く仕様!