まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京レイヴンズ6 Black Shaman ASSAULT

ストーリー
実技合宿以来、北斗の正体は夏目ではないのかという疑念が拭いきれない春虎。
夏目に対して今までのように接することができず、二人の仲は次第にぎくしゃくしたものとなっていく。
一方、『D』からの宣戦布告文を受け取った陰陽庁では、『十二神将』をはじめとした迎撃態勢がしかれていた……。



ああ、めちゃくちゃ面白かった! 予告のとおり、そして副題のとおり、ド派手な呪術バトルが最高に熱い巻でした。
今まではどちらかというとバトルよりもキャラたちの人間関係の方が魅力的かなと思っていたのですが、今回ばかりは参りました。たまらん。


ようやく、ええ、本当にようやくと言っていいでしょう。春虎が真実に気付き始めました。
北斗のことが頭をちらついて、普通に夏目に接することができない春虎と、急に距離を置かれてしまって困惑する夏目のすれ違いにもう、きゅんきゅんしっぱなしです。
どうしてここまでこじれてしまったんでしょうねえ。気付く機会は何度もあったというのに、まったくバカ虎は。
もちろん春虎だけじゃなくて、いつまでも言い出せなかった夏目にも責任はあるんですけどね。
ああじれったい。お互いにこんなに気にし合っているのにまっすぐ話し合えないふたりが実にじれったい。
今の居心地のいい関係を壊したくないから、踏み出すことができないっていうのは分かるんだけど。分かるんだけど!
冬児がなぜかふたりの間で恋愛アドバイザーみたいになってしまっているのが面白い。本人はうんざりしているかもしれませんが。


こんなうやむやな状態のまま、唐突に『D』との戦いに巻き込まれてしまう一同。
まず目立つのは鈴鹿の凄さ。力が封印されているとはいえ『十二神将』は伊達じゃありませんでした。
1巻のときは比較対象が少なかったせいもあってあまりよく分かりませんでしたが、こうやって同年代の友人と共に戦う姿を見ると、やはり彼女は特別なのだと感じます。
そう、友人。再登場したばかりのような気がするけれど、鈴鹿は変わりましたね。
みんなと一緒に戦うことを選んだり、落ち込む天馬に発破をかけたり。春虎だけじゃなくて、他のメンバーとの関係もいつの間にか出来上がってきていたようです。
夏目とだけは、まだあまり上手くいっていないようですが。恋に関わることだから仕方ないですよね。
それでもいざという時の信頼や連携は流石でした。お互いに力を認め合っているからできることなんでしょう。
それにしても、北斗(竜)ってこんなに強い子だったのね。いや、これまでも大活躍してましたけど、ここまでだとは。ただの萌えキャラじゃなかったということか。


春虎たちを追い詰めた『D』の前に立ちはだかったのは、春虎たちからは見えないところで、圧倒的な力を予感させていたあの男。よっ、待ってました!
強大な相手を前にして、台詞のひとつひとつが最高にクール。惚れるかと思いました。
最強クラスの陰陽師同士による呪術の打ち合いは、もはや見とれるばかり。素晴らしいのひと言です。
主人公たちの入り込める隙が全くないほどでしたが、いつか春虎や夏目もこんな戦いを見せてくれるのでしょうか。


ひとまず戦いの方は大きく一段落。一方で春虎と夏目のあれこれはまだ続いています。
次の巻では進展があるのでしょうか。それとも別の方向からまた何かが起こってくるのでしょうか。
今回で少し描かれた天馬のことや、順調にヒロインになりつつある鈴鹿のこれからも気になりますね。
不穏なエピローグが示しているように、次は陰謀編ということで。楽しみに待ちたいと思います。


いかにも子供っぽく『十二神将』って偉いんだよとか言っちゃう鈴鹿可愛いよ鈴鹿