まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

恋のキューピッドはハンドガンをぶっ放す。

  • ストーリー

比嘉財閥の御曹司・銀史郎に新しくつけられた護衛は、ソマリア帰りの美少女傭兵・神尾紅羽だった。
無茶苦茶な行動ばかりの紅羽を辞めさせようと画策する銀史郎だったが、刺客を送っても倒されるばかり。
そんな中、銀史郎がクラスメイトの長瀬楓に憧れていることを知った紅羽は、とある賭を提示する……。


評判が良かったのとイラストが好みだったので手にとってみました。
あらすじが混沌としていて少々不安だったのですが(ソマリア帰りと恋愛必勝マニュアルにどんな関連があるというのでしょうか)、楽しいドタバタラブコメでした。
予想通りといいますか、突っ込みどころは満載でしたけど。


大財閥の御曹司で、金持ちを鼻にかけた嫌味な主人公・銀史郎。
いかにもザコキャラといった風の言動や、なんだかんだで真摯な部分が憎めませんね。
周りを下に見ているけれど自分では何も出来ない凡人で、当然周りからの人望もない。
とても主人公とは思えない、むしろ1話で主人公にあっさりやられてしまうかませ犬キャラに近いですが、まああれだ、馬鹿な子ほど可愛いというやつです。
そんな銀史郎が、これまた世間からズレまくりの紅羽の助言に従って楓を落とそうとしては失敗していくさまは、痛々しくも笑えました。
これだけ色々されてもまだ銀史郎と接してくれる楓さんは天使か仏に違いない。


紅羽が大変可愛らしいですね! クールに刺客をばったばったとなぎ倒していく普段の顔と、時折見せる恥ずかしげな赤面顔とのギャップがたまりません。
特にメイド服。あれはまずいですね非常にまずい。ぜひ我が家に迎え入れたい。
そんな彼女を前にしてあんなことばを吐いてしまう御曹司って……。なんですか、幼稚園児のがきんちょか何かですかあなた。
もうひとりのヒロイン、楓は上にも書いたようにとても器の大きな女の子。
いかにも「学校のマドンナ」という感じの正統派ヒロインですが、正直ちょっと印象が薄め。
強烈すぎる紅羽に食われているということもありますけどね。もうちょっと楓のターンがあっても良かったんじゃないかなあ。
まあおおよそ予想ができていたとはいえ、結果的になかなか可哀想なキャラになってしまったような気がします。


バスジャック兄弟とか教師コンビ、マフィアのボスなど、サブキャラも個性的でした。
こういうサブキャラ陣も、もっと掘り下げて描いてくれればもっと光ってくれたのではないかと思います。
こざっぱりまとめたといってしまえばそれで終わりですが、銀史郎と紅羽以外の話も詳しくやって欲しかったかな。
展開の都合の良さや無理やりの伏線もちょいちょい目立っていました。ページ数的にも、もう少し深いところまで。読みたかったです。
とはいえ、銀史郎と紅羽のふたりの話としては、笑えてアクションもあってニヤニヤできて楽しく読めました。
わりと綺麗に終わったので続きが出るかどうかは分かりませんが、もしあるなら嬉しいですね。


イラストはあきさん。ストライクガンを構えた紅羽の下から見上げるイラストに心を撃ち抜かれました。
目付きが素晴らしいですね! ぜひ踏んでいただきたい。


第一印象は大切です。