まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ソードアート・オンライン8 アーリー・アンド・レイト

  • ストーリー

《SAO》中階層で、一人のプレイヤーが殺されるのを目の当たりにしたキリトとアスナ
しかしその殺害現場は、決してHPが減るはずのない街中の《安全圏内》だった。
これはプレイヤー・キルだと断定するも、その殺害方法に全く見当がつかず……。


2巻以来、二冊目の短編集。SAO時代のお話が2本と、ALOでのお話が1本収録されています。


「圏内事件」はSAOで起こったとある殺人事件を巡ってキリトとアスナが奔走するお話。200ページを超えているので、短編というより中編ですね。
ゲームのシステムともなればこれはもう絶対不可侵な壁のようなもので、それを殺人者がどのようにすり抜けたのか、いつものバトルとはまた違った緊張感を味わえました。
展開もどんでん返しの連続でドキドキしっぱなし。
一旦は解決したかに思えた事件が思いもかけぬ広がりを見せて、遂にあのキャラまでが姿を見せてきたのには驚きました。
彼とキリトの決戦も見てみたかったですね。まあいつか描かれることもあるでしょう。
ああ、出会って間もない頃のアスナのツンツンぶりが新鮮でした。こんな関係でしたっけ。
キリトの不用意なことばにいちいち慌てるアスナが可愛いですねえ。今はもう熟年夫婦みたいになっちゃってるからなあ。まあそれはそれでいいんですが。
結婚にえらい反応を見せるアスナに思わずにやり。あのね、あなたたちはそう遠くないうちにね……。


「キャリバー」はALOの最強武器、《聖剣エクスキャリバー》獲得クエストのお話。
3本の中では一番好きですね。伝説の武器を求めて冒険に出るというのはありがちな展開だけれど、やっぱりドリームがありますよね。
バトルも豊富でしたが、ここはもうキリトさんの独壇場。いやあ凄いもんだね。悔しいけど格好良いなあ。
でも最後の最後にやってくれたのは、ALO新規参加組のシノンさんでした! シノンさんマジかっけえ!
結局キリトさん無双になってしまうことの多い中、スナイパーであるシノンさんはキリトとはまた別の孤高の麗しさを貫いていて実に素敵。
これからもさらなる活躍を見せてくれることと思います。期待しましょう。


「はじまりの日」はSAO稼動初日のキリトを描いたお話。
まだレベル1の頃のキリトがこれまた新鮮。まあ元βテスターということもあって既に熟練プレイヤーのような雰囲気も醸し出していましたけど。
キリトの微妙な心境の移り変わりが印象的でしたね。そりゃあ、いきなりゲームで死ぬなんて言われても現実味が湧かないよなあ。
あと、「あまつさえゲームの中で女の子と仲良くなったりという豪運を誇るプレイヤー」がどうたら言ってるのはなんですか、ツッコミ待ちなんですか?


SAOでの未だ語られていない物語はまだまだ残されているようで。
個人的にはアインクラッド編はそんなに好きではないのですが(何といっても死が怖いから)、ここまできたら全部描ききって欲しいなあと思います。
キリトの第一層攻略やラフコフとの決戦などなど、楽しみですね。


地味にMVPはクライン。