まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京レイヴンズ5 days in nest Ⅱ & GIRL AGAIN

  • ストーリー

春虎たち二年生が向かった先は、陰陽塾に所属する上級生のみで行われる、富士山麓の実技合宿所。
新入生である鈴鹿から解放されて、春虎と夏目は束の間の自由を満喫する。
ところが一行が合宿所に到着すると、そこには鈴鹿の姿が……。


4巻とは逆に、短編4本の後に書き下ろしの中編1本が収録されています。大ボリュームです。
短編は前回と同じくドタバタで楽しいですね。逆に言えば慌ただしいものが多いので、もしかしたら1冊全部がこれだとちょっと疲れるかもしれません。
でもこうやって2冊に分けるとそんなこともなくて、変わっているけれどうまい構成だと思いました。


短編はもう、全体的に夏目フィーバー。大暴走です。夏目はこういうコメディ回だといきいきとしてますね!
普段が生真面目だから、彼女が無茶苦茶やるとやっぱり目立つんですよねえ。どの方向からも楽しめるキャラだと思います。
酒癖が悪かったり、看病で逆に迷惑をかけたり。いかにも想像通りといいますか、完璧に見えて実は結構抜けているところのある、彼女らしい一面がたっぷりで大満足でした。
もちろん春虎とのニヤニヤラブコメも実に豊富。とりあえず猫ね。猫。もう出てきた時からそうじゃないかとは思っていたけれど、案の定でした。
本当懲りないですねこの娘は。とはいえ、春虎相手だとついつい単純な考えに走っちゃう、そんなところがまた愛おしいわけですが。
春虎と夏目で雪道を歩くだけのお話では、珍しくギャグなしで、普通にいい雰囲気が。春虎さんもやればできるじゃないですか!
間に入り込めなくて拗ねてしまったコンもまた可愛かったです。


中編は、バトルはひと休みして、クラスでの合宿のお話。前巻で華麗な再登場を果たした鈴鹿がまたも活躍します。
夏目の正体を知っている、春虎にほのかな想いを抱いている(?)、など合わさって、絶妙においしい立ち位置にいるんですよね。
鈴鹿本人も、クラスの前では猫をかぶり、裏では腹黒で、その上特級の腕を持った陰陽師で、全体的に魅力のかたまり。そりゃあ活躍しないともったいない。
彼女が話に入ってきたことで、停滞していた物事が一気に動き出したように思います。
冬児の思い切った行動にも驚きましたが、まるで予想外の働きをしてくれたのが京子ですね。
ちょっと似たところのある鈴鹿の影に隠れてしまうかと思ったら、なかなかどうしてやり手じゃないですか。
京子と鈴鹿のやりとりは小気味良くて好きです。反抗期の妹をからかうお姉さんみたいな感じでしょうか。
問題は、夏目のことを知っているのが鈴鹿だけだということなんですけどね。
春虎や夏目も交えた、この会話のすれ違いがなんともじれったくてたまりません。
とりあえず、バカ虎はどこまでもバカ虎でした。でも正直な気持ちを口に出せたのは良かった。何かが変わることがあるかな。


そして最後。気付いたのか気付いてないのか、なんとも微妙なところで続きます。
謎の上級生はまだ謎のまま。時間が迫る倉橋塾長。不安なあれこれを残して、次回はまたバトルだそうです。
私としては、夏目がまた勇気を振り絞ってくれるのを期待してやみません。それから春虎がどのような行動に出るのかは、また別の話ですけれど。
久しぶりに鈴鹿の本気が見たいところですが、彼女も戦いに参加するのかな。それから冬児の変身も。楽しみですね。


夏目になんと言われようと、コンの尻尾はぜひ触ってみたいものです。ふわっふわでもっさもさ、なんですよきっと……!