まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

喰-kuu-3

喰-kuu- 3 (MF文庫J)

喰-kuu- 3 (MF文庫J)

  • ストーリー

テスト明けのある日、みのりと焼肉バイキングを楽しんでいたハチは、謎めいた二人組に大食い勝負を持ちかけられる。
不気味な強さを持つ彼女たちに完敗してしまったみのりは、「部活をやめる」と言って姿を消してしまう。
みのりの不在によって気持ちがバラバラになったまま、一同は東北大会に出場するが……。


無敵だと思われた《極大引力》みのりが遂に敗北。
前巻で「一度負けなければ」といったようなことを言われていたし、近々そういうときが来るとは思っていましたけど、実際にこうなるとやはり衝撃がでかい。
当然みのり本人のショックも大きく、彼女は強さを得るために幸せを捨てようと、部活から離れてしまいます。
大食いに対してのみのりの本気っぷりを改めて感じますが、それにしてもこの決断は悲しい。
一緒に戦ってきた仲間を捨ててひとりで高みへ登ろうとするなんて、みのりらしくありません。
部員はみなみのりを待っているのに。みのりがいないせいでバラバラになりかけているのに。
他でもない、みのりの魅力が彼らをひとつにしていたのだと、今更ながらに気付かされました。


と、ここでまさかの活躍を見せたのが真白です。
ずっと目の上のたんこぶだったであろうみのりのために、彼女に真正面からぶつかりました。
思いを伝えるためには、ぶつからないと駄目なこともある。
相手の土俵で思う存分ぶつかってことばを届けた真白は、素直に格好良いと思えます。
だって、ハチでさえ(めぐり合わせとはいえ)できなかったことを、見事にやってのけたのですから。
あるいは、恋敵だからこそ通じ合える何かがあったのかもしれません。こういうライバルっていいよね。
ソフトボールの経験からくる、仲間というものに対しての真白のことばがとても好きです。
かませ犬だとか思っていてすみませんでした。彼女も立派に、この作品の主人公のひとりだったんですね。


そしてやってくる大会。相変わらずキャラのバラエティに富んでいて全く飽きません。
部長に仙石先輩、そしてラギにまで、それぞれに見せ場がありました。良かったなあ、ラギ。
ハチとみのりのタッグマッチは最高に熱かったですね!
基本的には個人の戦いである大食いですが、ふたりの間に確固たる絆があったからこそ、こんな風に戦えたんだろうと思います。
それは相手も同じでした。宮子のまさかの台詞、敵ながらとても嬉しかったです。
お互いを強く信じ合うコンビ同士の戦い。いいものを見せてもらいました。
台詞といえば、みのりのあの一言には痺れましたね。いやもう、巻の初めからずっと思ってたけど、こいつら本当にラブラブだな! 早くくっついちゃえよ!


話が大きく広がってきて、キャラもそれぞれ深みを増して、さあこれから、という感じなのですが。
あとがきによれば、なんとこれで最後……って、えええええええなんでえええええええええ!?
いやいや、まだ大会は続いてるし、食神も倒してないし、何よりハチとみのりがくっついてないじゃないですか! いちゃいちゃが足りないよ!
まだまだ先が見たいお話だったのに、ここで終わってしまうのはあまりに残念でなりません。願わくば、いつか続きを読みたいものです。
とりあえずのお別れとして述べておきますと、最後まで本当にフレッシュで楽しい物語でした。新作も楽しみにしています。


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