まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

火目の巫女 巻ノ二

火目の巫女〈巻ノ2〉 (電撃文庫)

火目の巫女〈巻ノ2〉 (電撃文庫)

  • ストーリー

降楼した火目を埋葬する儀式、廃火の儀に、火護として立ち会うことになった伊月。
ところがそこで、骸となっていたはずの先代の火目・時子が化生となり、逃亡するという変事が起こる。
火護唯一の弓衆となった伊月は、新たな御明かし、茜を連れて時子を追うが……。


火目候補としての役目を終え、新たに火護の一員になった伊月が頑張る巻。
御明かしじゃなくても鳴箭は射ることができるんですね。やっぱり弓はいいなあ。ロマンがある。
やはり元御明かしですから、その弓で大活躍を見せてくるのかと思いきや、火護の鉾衆の中ではいまいち力を発揮できず。
火目に比べれば多少落ちるとはいえ、たとえ鳴箭だけでも普通の人間よりよっぽど役立つように思えるのですが、ただ威力があればいいということでもないんですねえ。
火目はひとりで戦うから、周りに合わせて戦うイメージがなかなかつかめなかったのは当然なのかもしれません。


火護の男たちは格好良かったですね。
村人から邪険にされても村を守るために命を懸ける姿に、火護としての誇りを感じました。
頭領の矢加部がまたおいしいキャラで、悩んで弱音を吐く伊月を突き放すんだけれど、実は伊月のことを信じて待ち続けている。
娘の成長を遠くから見守る親父みたいな、不器用さに好印象を持ちます。
豊日や佳乃にも、そういう保護者然としたところがありますよね。
伊月にどこか子供っぽいところがあるから、余計にそう見えるのかもしれません。保護者たちにとってはさぞ見守り甲斐があることでしょう。


1巻であんなことになった佳乃ですが、今回もしっかりと活躍します。
特に伊月とのやりとりでは何度もぐっとさせられました。
大切に思うからこそやっていることが理解できなくて苦しむ佳乃は、見ていてとても辛い。
佳乃の世話役の女房・双葉は、この巻でも一番胸に残る人物のひとりです。
彼女が佳乃の心を動かしたからこそ、佳乃は伊月の心を動かすことができ、あの結果につながったのではないでしょうか。
なんともやるせない気持ちではありますが、彼女の優しさで、多くの人が救われたに違いありません。
最後に佳乃がまた弓を手にしていたのが何より嬉しかったなあ。


これから重要になってきそうなのは、新しく御明かしになった茜のこの先ですね。
伊月や佳乃と関わって、御明かしでありながら火目の秘密を知ることになったこの愛らしい少女が、どんな選択をしていくのかとても気になります。
化生に隠された謎や、豊日の過去などがそろそろ明かされそうなので、そのあたりも楽しみ。


まさか火事とキムチに関連性があろうとは。