まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

かぐや魔王式! 第9式

  • ストーリー

アクシデントにより、記憶喪失になってしまった輝夜
同時に性格まで変わってしまったらしく、輝夜は今までの魔王キャラを失っていた。
なんとか輝夜の記憶を取り戻そうとする錦織たちだったが、クラスメイトたちはそんな輝夜を大歓迎で……。


閣下がまさかの記憶喪失に! その上普通の女の子のような性格に!
変な演説もせず、周りに優しく笑顔を振りまく輝夜はとても魅力的な美少女で、ずっと彼女を避けてきた生徒たちは大喜び。
錦織だって、しばらく前までは喜ぶ側の人間だったことでしょう。
輝夜の変わった言動に最も振り回されてきたのは他でもない、錦織ですもんね。
でも錦織は、真っ先に輝夜の記憶を取り戻すことを考えます。
少しは躊躇するのかと思っていたのに、迷わず昔の輝夜を選んだのには驚きました。
しばらく輝夜と行動を共にして、仲間も増えて、楽しく過ごしてきた錦織は、魔王・輝夜を中心としたあの場所のことが、いつの間にか大好きになっていたようです。
それは錦織に限らず、輝夜に無理やり集められたはずの六道や米倉や弓削が、輝夜のために一生懸命になる姿には胸が温かくなりました。
輝夜ってなんだかんだでカリスマ性があったんだなあ。


記憶を失った輝夜は、漫画に影響されて恋愛をしてみたいと言い出します。
そこにタイミングよく現れ、告白をしてきた男子生徒とデートをすることに。
そんな2人を遠くから眺めてやきもきする錦織にニヤニヤ。なんだ、やっぱり輝夜のことが?
記憶喪失っていうのは確かにラブコメの王道かもしれませんが、輝夜が記憶をなくしたことで、あの錦織が、ようやく、自分の気持ちに気付きかけるというのは、とても熱くていい展開だと思いました。こういうのを待っていた。
そんな風に輝夜を見つめる錦織を後ろから眺める米倉がまた切なくて素敵でした。
輝夜には勝てないけれど、記憶がない輝夜になら勝てるかもしれない。罪悪感を感じつつも、記憶が戻ってほしくないと思ってしまう乙女心。
その気持ちも理解できるけれど、そんな後ろ向きな米倉や弓削を一喝する六道の格好良さったらもう。
六道は巻を追うごとに魅力的になっていきますね。初めはただのダメっ子だったのになあ。


ここにきて、あの能力に新たな疑惑が浮上。これはなんとも予想外でした。
スピード感たっぷりのラストから、ちょっとした修羅場に突入して次巻へ。
うわあ、めちゃくちゃ気になる。続きがとても楽しみです。


次で最終巻とかだったら淋しい……。