まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

変態王子と笑わない猫。2

変態王子と笑わない猫。2 (MF文庫J)

変態王子と笑わない猫。2 (MF文庫J)

  • ストーリー

夏の終わり、月子との本音探しから帰ってきた陽人は、自宅が綺麗に消滅しているのを発見する。
動転してポン太と梓に連絡を取るもあっさりと振られてしまい、少し前に別れたばかりの月子を呼び出す陽人。
陽人は月子に誘われるまま、筒隠家に泊まることになり……。


2巻目にして安定感ばっちり。面白かったです。
1巻で建前が戻ったはずの陽人ですが、建前を失っていた頃に色々吹っ切れすぎたせいか本音がダダ漏れ。もはや名実ともに変態王子になっていますね。
月子や梓には完全にバレてしまっているからいいのかもしれないけれど、これだけぶっちゃけておいてまだ好意を持たれているのが凄い。
根っからいい奴なんだということなんでしょうね。まあ月子と梓の心が広いということもあるんでしょうけどね。変態だもんね。
いい奴であることは確かなんですけど、自分への好意にどうしてこうも鈍感なのか。
月子はともかく、梓なんてこれ以上ないくらい分かりやすいと思うのですが。


大きく躍進したのは鋼鉄さん。まさかヒロイン化するなんて思ってもみませんでしたが、一度こうなってしまうと、月子や梓にとってかなりの強敵ではないでしょうか。
それにしても鋼鉄さんは常識が欠けすぎです。横寺弟のことは百歩譲るとしても、なるにあ国はない。
夢があるというか疑うことを知らないというか、ユニークなお姉さんですね。
ヒロイン3人の中では、なんといってもやっぱり月子の可愛らしさが超特級でした。
本音が顔に出せないのにどうしてこんなに可愛いのか不思議でなりません。
褒めても全然反応しないけれど、実はひそかに喜んでいるところなんかがもうたまらない。
陽人のTシャツを勝手に着て歌を歌いながら料理をしちゃう月子には撃沈しました。誰かこのニヤニヤを止めてください。
梓はとてもいい子なんですけど、どうも今のところわりを食っている印象があります。不憫。


表には出ないけれど、月子は誰よりも寂しがり屋で、陽人や姉とのつながりを求めていました。
父や母を知らないために家族を欲しがって、台風という大義名分を得て、友だちと生活するのを楽しんでいた月子。
このままいつまでも家に閉じこもって過ごせたら。そう思ってしまうのも仕方のないことだったと思います。
その気持ちをよく分かっていながら、あの場面で月子を諭すことができた陽人は素晴らしい。変態でもやるときはやるんです。格好良かった。
最後にちょっとしたびっくりがあって、そのまま続く。
次巻では梓が活躍するらしいので、楽しみに待ちたいと思います。


もはや言わずもがなですけれど、カントクさんのイラストが今回も最高でした。
月子が出てくるたびに2分くらい凝視してしまう。