まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア Ver3 君在りし日の夢はつかの間に

  • ストーリー

道に倒れていたところを、見知らぬ黒ずくめの男に助けられた「取り立て屋」クラニィ。
彼の名はアジアン。“虐殺人形”と呼ばれ、裏の世界では名の知られた男だった。
こうして出会った彼らは、後にクラン<昼飯時>を結成することとなる……。


番外編第4弾。クラン<昼飯時>の過去話です。
今までほとんど語られなかった昼飯時がどんなクランで、どんな仲間がいて、どんな風に結成されたのか。そんなことが分かる貴重な1冊になっています。


昼飯時といえばアジアンですが、マリアローズと接するときとはずいぶん違った様子。
無口な孤高のリーダーという感じで、あの変態っぷりは欠片も見当たりません。
マリアがどれだけアジアンにとって特別なのかということが改めて感じられますが、かといって、昼飯時でのアジアンが素顔でないというわけではないとも思います。
クランを作ろうと言い出したアジアンは、ある意味でマリアと一緒のときよりも素直でした。
どちらが嘘というわけではなくて、どちらも別の、本当のアジアンなのでしょうね。


昼飯時は、ZOOと比べても、主に性格の面で問題があるメンバーだらけのようです。
そんな人間が集まって、しょっちゅう罵り合っているけれど、それでもどこか温かい、居心地の良い空間。他に行き場のない彼らを受け入れてくれる場所。
それが、アジアンを中心として作られた、昼飯時というクランでした。
ちょっと間の抜けたクランの名前の由来。ちょっと素敵ではありませんか。
アジアンがあれだけ一生懸命になって、自分の気持ちを殺してでも、このクランを守ろうとしたことにもうなずけるというものです。


そんな昼飯時に訪れた悲劇。
こういう裏があったのだと思うととても切ない。SmCを憎まずにはいられない。
読み終わってから副題の意味に気付きました。ため息しか出ない。
彼は最初から最後まで格好良すぎた。


しかしアジアンは罪な男だな。
そんなアジアンをそでにしているマリアはもっと罪なのかもしれないけれど。