まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

@HOME 我が家の姉は暴君です。

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  • ストーリー

両親をなくした響は、とある理由から親類の『倉須家』に引き取られる。
しかしそこは、血のつながらない六人のきょうだい達だけで生活しているという妙な家だった。
七人目のきょうだいとなった響だったが、次女のリリィがなぜかキツく当たってきて……?


初めて藤原先生の作品を読みました。いわゆる家族ものを読んだのも初めてに近いと思います。
基本的に恋愛ものが好きなので、家族ものは今までわりと避けて通ってきたのですが、いやあ、読んでみるといいものですね。
血のつながっていないきょうだいという特殊な環境ではありますが、家族のつながりとか温かさとかがきちんと伝わってきました。
こういうのをハートフルストーリーというのでしょうか。


6人のきょうだいがそれぞれ異なった魅力に溢れています。
中でも衝撃的な登場をぶちかましてくれたのは響のひとつ上の姉であるリリィ。
学校の生徒会長をしていて、誰に対しても傲岸不遜、まさに暴君の名がふさわしい美少女です。
いつも冷たいしわけの分からないことばかり言っているみたいだけど、時々ほんの少しだけ見せる思いやりや優しさがなんとも素敵。
姉だろうがなんだろうが、ギャップ萌えってあるよね。そこで笑顔は卑怯だよね。
台詞もいちいち格好良いです。シビれました。


赤の他人だった響が六人きょうだいの中に入っていくわけですから、問題も生じます。
なかなか新しい家族になじめずに、よそよそしい態度を取ってしまう。
そんな響が、リリィ達のおかげで、次第に家族の一員としてやっていけるようになる。その過程がとても良かった。胸がぽかぽかしますね。
各話の終わり方も素晴らしかったです。まだまだ先が読みたいと思わせてくれる幕引きで、ああ、いいもの読んだなあと溜息をつきたくなる感じ。
特にAct1は、話初めの説明と見比べると頬がにやけて止まらなくなります。うまいなあ。


200ページ強しかないし、読みやすいのであっさり読めます。
それでいて内容がしっかりしているので満足感もしっかりと味わえる作品だったと思います。
今回はリリィに焦点が当てられましたが、次巻は別のきょうだいがメインになるそうです。
この調子でどんどんキャラを掘り下げていってくれると嬉しいですね。楽しみにしてます。


イラストは山根真人さん。なんといってもリリィのスラっとした美しさと、三女・芽々子の愛らしさに注目。
連載初回分のカラーイラストだけちょっとキャラデザインが異なるのはご愛嬌ということで。