まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

灼眼のシャナⅩⅩⅠ

  • ストーリー

新天地『無何有鏡』を創造するため、御崎市へと降り立った“祭礼の蛇”の代行体・坂井悠二
その計画を打ち砕かんと、シャナの元に集まった少数精鋭のフレイムヘイズ
それぞれの思いを胸に、今、最終決戦の扉が開く。


大きな戦いを終え、本当のクライマックスへ。
この長く続いた物語が今度こそ終わろうとしているのだと思うと、やはり寂しい気持ちでいっぱいになります。


それにしてもこの難解な言い回しとことば遣いときたら。
いくらフレイムヘイズでも、こんなにしち面倒くさい会話を交わしていたら頭がこんがらがってしまいそうですが。
相変わらず一級の読みにくさを誇っています。これが持ち味だからいいんですけどね。
逆に言えば、こんな文体なのにバトルになると大迫力のアクションを見せてくれるのだから凄いですよね。


吉田さんたちクラスメイトが登場しました。
最近戦闘が続いていたせいでしょうか、友人間の会話がなんとなく懐かしい。
この作品に関しては基本的にバトルの方が好きで、人間関係の描写についてはあんまりだったのですが、こうして目にすると「ああ、やっぱりこれがあっての『シャナ』なんだなあ」とどこかしっくりくるものがあります。
特にシャナが素晴らしかった。
悠二と戦う決意を固めてからのシャナはまっすぐで輝いていてとても格好良いのですが、何か物足りないと思っていました。
しかし彼女は、今回悠二と対面して、1人の女の子としての顔を、久しぶりにちらっとのぞかせてくれます。
シャナは素晴らしい成長を遂げたけれど、根底ではあの頃のままなんだ。そんな風に感じて、思わずニヤニヤしてしまいました。
ヒーローではなくヒロインとしてのシャナ。あまり登場しない、でも絶対に欠かしてはいけない、大切な要素ではないでしょうか。


ラストでいまひとり、吉田さんが大きな役目を果たします。
力はなくても、彼女なりに考えて、決断し、戦いました。
その源はみんなを想う心であり、悠二を想う心です。
彼女の想いがこの物語をどのように動かし、どのような結末へと導くのか。全ては次の巻へ続きます。
次回は「最終章の後編」だそうですが、あと1冊で終わるとはどうしても思えないなあ。
もしかしたらまだ数冊続くのかもしれません。どちらにしても楽しみですね。


一番格好良いのはヴィルヘルミナさん。ここは譲れない。