まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

学校の階段の踊り場2

学校の階段の踊り場2 (ファミ通文庫)

学校の階段の踊り場2 (ファミ通文庫)

  • ストーリー

大晦日、階段部のメンバーはとある神社に集まっていた。
1000段におよぶ神社の石段を利用しての階段レースで年を越すのが階段部の恒例行事なのだ。
暗い中、懐中電灯片手に石段を駆け上がり始めた一行だったが……。


10巻で大団円を迎えてから1年3ヶ月ぶりの新刊は短編集。
今回は脇役たちにスポットライトを当てた話が主に収録されています。


1話目は久しぶりの階段レースでちょっとテンションが上がりました。
まあ舞台が学校ではないので、Vターンや黒翼の天使が見られないのは寂しいですけど。
これは前の短編集で読みたかったなあ。九重と刈谷がいなくなる切なさを今さら見せられても。


2・3話目はバレンタインデーの話を三島と御神楽の視点から描き直しています。
あのイベントの裏ではこんな攻防な繰り広げられていたんですね。美冬姉さんしか目に入ってなかったよ。
女の子の思惑と意地が交錯する恋模様は見ていて楽しいですが、一番可愛かったのは宇多川でした。
しかし相変わらず、神庭がこれほどモテる理由がさっぱり分からない……。


4話目は受験直前の九重、刈谷、遊佐、中村の話。これまた恋愛メイン。
個人的にはこの話が一番好きですね。甘酸っぱい青春の恋にじれったくなりつつも胸が痛みます。
特に遊佐。なんて不憫なんだろうこの人。
片思いの連鎖はこの4人にどのような結末をもたらすのでしょうか。


最後の5話目は九重たちの卒業後、井筒の妹が主人公の物語です。
ラストでその後の階段部をちらっと見せて終わり、ということなんでしょうね。
井筒は意外にいいお兄ちゃんみたいですね。あとこの学校、怖い女子が多すぎる。


今度こそこれで終わってしまうのでしょうか。もしかしたら第二部突入の可能性も?
作品が終わってもまだ先があるということを感じさせるいい終わり方だったとは思いますが、これで最終巻だとしたらちょっと物足りないですね。
メインキャラがほとんど活躍していないし、何より美冬姉さんが全く出ていない!
この作品を読む主な理由が「美冬姉さんと、ついでに階段レース」だった僕としては実に残念です。
10巻でも美冬姉さんとの絡みはそれほど描かれなかったし、前の短編集を最終巻にした方が良かったのではないかとさえ思ってしまう。
恋愛がメインの物語ではないから仕方ないのかなあ。


あとがきのSSの安定感ときたら。