まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア Ⅲ.荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐

  • ストーリー

ベアトリーチェを救出したのもつかの間、《SmC》首領・SIXから《秩序の番人》へ果たし状が届く。
ここで遂に両者の全面対決が実現するのだった。
一方、SmCの魔の手がモリー・リップス・アサイラムへと伸びていることを知ったマリアたちは……。


迫力の戦いと悲しみ、そして打開。色々な面が、凄かった。凄い1冊でした。


相変わらず、SIXにはひどい嫌悪感を催さずにはいられません。
その行動の、その言葉の、全てが憎い。
ここまで卑劣な敵キャラもそうはいないのではないでしょうか。
よくもまあ人間(かどうかは微妙だけれど)をこんな風に描けるものですね。
その悪辣な敵に対して敢然と立ち向かう秩序の番人たち。
特に総長である太陽鬼、デニス・サンライズの勇ましさ、輝かしさがとても印象的でした。
第6章に限って言えば、主人公はデニスと、デニスの影で見事に自分を殺し続けたヨハンだったと思います。
この章だけで1つの作品としてもいいくらい、秩序の番人とSmCの戦いは壮絶極まりない血戦でした。
義と悪とが己の威信を全て賭けて戦う。興奮と迫力がそこに満ちています。


いくつもの悲しみを乗り越えて、最終決戦。
トマトクンとアジアンの戦い、サフィニアとベティの魔術戦など、凄まじいバトルの連続で手に汗を握りました。
超人的なメンバーに囲まれ、クラン内で最弱のマリアローズに何が出来るのか。
迷いながらも彼は進みます。自分にできること、自分がやりたいことを探し、選び、あらがい続けます。
トマトクンのような派手さはないけれど、その姿は勇気や希望を与えてくれました。
マリア。最高に格好良いよ。


とりあえずストーリーは一段落のようですが、物語はまだまだ続きます。
この先待ち受ける困難に、マリアたちはどのように立ち向かっていくのか。
正直、読んでいて苦しい場面が多い作品ですが、少しでも彼らの道行きに幸せがあればと思います。