まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

偽りのドラグーンⅣ

偽りのドラグーン〈4〉 (電撃文庫)

偽りのドラグーン〈4〉 (電撃文庫)

  • ストーリー

レガリオン帝国がセーロフ王国に侵攻を開始した。
騎士学院からの支援として派遣されたジャン達は、焦土と化した国土を目撃する。
その中に取り残されている民間人がいることを知り、密かに救出しようと目論むが……。


本格的に戦争が始まりました。もちろん戦闘描写も増えています。
対機甲竜ではなく、普通の兵士との戦闘もありました。
人を撃つのをためらうジャン、クリスと、迷いなく敵を刺すアダマスとの差が印象的です。
これだけかませ犬臭をさせながら物語の中心に居続けるアダマスって一体…?


この作品のテーマのひとつに「嘘」があると思うのですが、今回は特にそれが大きな役目を果たしていたと思います。
周りから自分の正体を隠し続けてきたジャン。
ジャンへの密かな思いを抱えるクリス。
常に殺意を秘めながらジャン達と行動を共にするアダマス。
さらにティアナにもジャンに話せない秘密ができ、いつ話すべきかと思い悩みます。
特に印象深いのはゲストキャラとして登場した司祭、ニールですね。
彼は身分を偽るのはよくないことだと言いながら、自らも秘密を持ち、それを巧妙な嘘で隠し通しています。
それぞれの秘密を隠して周りと接するキャラ達の姿は痛々しく、また切ないものでした。


その一方で、胸の暖まるようなシーンもあります。
悩むティアナに対して言葉を投げかけるジャン。
ジャン・ティアナ組とラシード・アネモネ組との信頼関係。
殺伐とした雰囲気の中で、こうしたやりとりは心をほんのりと癒してくれました。
とりあえずティアナは可愛すぎます。


今回のラストでは物語の根幹が大きく動きました。ハッピーエンドを全力でスルーしているのは相変わらずですけど。
次巻ではさらなる激動の展開が待っているようです。楽しみ。