まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

さくら荘のペットな彼女3

  • ストーリー

2学期初日の夜。イギリス時代のましろのルームメイト、リタがさくら荘にやってきた。
彼女の目的はましろをイギリスに連れ戻すことだという。
拒否するましろだったが、リタは目的を達成するまでイギリスに帰るつもりはないらしく……。


今回は特に良かった。読み終わったときには心からほっとしました。
相変わらずとても読みやすいですね。会話のテンポも実にいい。


ゲームのクリエイターという新たな目標はできたものの、今まで通りましろの世話を続ける空太(羨ましい)。
ところがリタの登場により、ましろとの別れが現実的な問題として立ちはだかります。
さらに空太はましろの絵の凄さを目の当たりにすることで、彼女は芸術の世界に戻るべきなのではないかとさえ考え始めます。
もちろん、ましろと別れたくない、夢を追うましろを応援したいという気持ちも持っている。
自分の本当の気持ちはどちらにあるのか。深く葛藤する空太の心情はリアルに迫ってきました。


一方のリタは、天才のましろに対しての引け目から来るとても強い感情を隠していました。
繰り返す作り笑いと諦めと嫉妬。そして遂に爆発する感情。
正直言って僕には彼女の気持ちは理解し辛い。そこまですることかと疑問にも思います。
しかし少なくとも、読んでいてとても切なく悲しい気分になったことは確かです。
特にリタとましろのやりとりの中で双方が傷ついていくのを見るのは辛かったですね。


重く苦しい展開が続き、どうももやもやした心持ちになりましたが、それらを全部吹き飛ばすようなラストが素晴らしかった。
こういうのもカタルシスというのでしょうか。まさに終わりよければ全てよし。
空太とましろにニヤニヤするのはもちろんですが、まるで予想外だった組み合わせが誕生してわくわくが止まりません。
次からはまた新たな展開が期待できそうです。


いつか「さよならピアノソナタ」と比較してみたいなあ。