まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『幼女さまとゼロ級守護者さま』感想

幼女さまとゼロ級守護者さま (GA文庫)

幼女さまとゼロ級守護者さま (GA文庫)

ストーリー
ネテスハイム公・雨宮透華は「切り札」たる守護者を召喚して告げた。「雨宮羽玖。雨宮の娘を守って欲しい。忌まわしき天球儀ゲームから」「十三血流」――その眷属たちは名だたる能力使いであり、世界史を裏から操ってきた。だが、その均衡を揺るがしかねない存在が羽玖であり、彼女は「不死」にさえなりうる希有な能力《節制》に覚醒する予兆を示していたのだ。十三血流がさらなる力を得るべく眷属を送り込む「天球儀の迷宮」。能力者たちが集う閉鎖空間において誰かが羽玖を亡き者にしようと狙い、誰かが羽玖を守護する切り札となる。各家の思惑が交錯する中、その趨勢を決する迷宮探索が幕を開けた――。

世界の裏で暗躍する「十三血流」の眷属たちが集い、利益を享受するため異能をもって競いあう謎解きゲーム×バトルアクション。
あーやられた! なんだか作者の掌で踊らされているようで悔しいけれども、面白かった!
知識をひけらかしていく作者のドヤ顔が見えるぜ……。あ、幼女さまはとても愛らしくてよかったです。


しょっぱなから中二満載の描写&世界設定が押し寄せてきて、並々ならぬ中二力を持つはずのこの僕でさえ!(笑)一瞬思わずウッと息を詰まらせかけました。いかん、年を取ったな……。
世界史を裏から操る十三の血族たち! その眷属が手にするタロットカードになぞらえた能力の数々! 十三血流の一・ネテスハイムが支配する階層別に隔離された学園都市!
おお……これこれ、これでこそ中二ってもん。位付けとナンバリングと二つ名のある能力とか最高でしょ。いくらでも新たな物語とキャラクターが湧いて出てきそうな設定、ワクワクしてくるでしょ。


他の血流の眷属や内側に潜む刺客からネテスハイム家の姫・羽玖を守り抜くよう命じられた「守護者」の少年。
園都市の選ばれしエースたちが集って始まったのは、ミノタウロスの迷宮になぞらえたダンジョンの謎を解明していくデスゲーム。
少ないヒントから迷宮の謎を導き出し、進んでいく。一歩間違えば罠で命を落とす。また他のチームと出会えば、アルカナの力を解放したバトルが始まる。謎解きとバトルと、どちらも見応えがあり、また緊張感があってよかったですね。まあ謎解きの方はね、読者が予想できるタイプのものじゃなくて、知識があるかどうかというだけのものなので「ふーんそういうもんか」っていう感じですけど。
ゲームの進行の方では、某キャラクターがあまりにうざったくて、読んでいて正直しんどかったです。もちろんその点も含めて、ラストの「あーやられた!」につながるわけなんだけれど、イライラするもんはイライラするんじゃー! 読みながら気分が乱高下したけれども、最終的には面白いと思ってしまったから、ちくしょう、結局作者の勝ちだ。
上にも書いたように、まだまだ広がる世界を期待させてくれる新シリーズでした。次はどんな中二を魅せてくれるのか楽しみです。


イラストは狗神煌さん。狗神さんの描く幼女はええのう。実にええのう。
ぷく~顔幼女さまが可愛すぎて愛でたい。盛大に宴を開催したい。


詩乃さんの「デキる従者」感好きじゃー。