まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『グランクレスト戦記 9 決戦の刻』感想

ストーリー
テオの説得によって覚醒し、芸術的な采配で勝利を収めた連合盟主アレクシス。同盟の勢いを止め、愛するマリーネを救うために戦乱の中に身をおいた彼に迫るのは、ノルドの君主エーリクだった。海洋王とも謳われる猛者に対し、アレクシスは圧倒的に不利なはずの海上での戦いを選び!? 近づく、条約、同盟、連合の激突。その先には皇帝聖印誕生への道が開かれると誰もが予感していた。しかし――「三勢力が鼎立する今の状況は、本当の敵を利するだけだ」秩序に満ちた世を望まない者たちが暗躍を始めていた――一大戦記ファンタジー、最大の決戦にして新たな展開を迎える!

サブタイトル通りの、条約と連合と同盟の一大決戦を描いた巻。
テオにアレクシスにマリーネ、ようやく主役たちが一堂に会する時がやってきましたよ。
大戦の結末が落ち着くべきところに落ち着いてよかった。まだ戦いは続くといえど、それだけは本当によかったと思います。


連合の海を脅かす海洋王エーリク。シルーカでさえも陸戦を勧める中、連合はあえて海の上でノルドを待ち受ける!
ア、アレクシスさーん! ちょっと、本気だしたアレクシスさん強キャラすぎませんか。前回も大概でしたけど、慣れない海戦でも大きな不利を覆して大勝とか、ちょっとやりすぎやでこの優男!
その一方で、ノルド王エーリクの人並み外れた武勇もまた凄かった。このイラスト、もはや鬼とかにしか見えないんですけど……化物退治とか、そういう類のアレですわ。ノエリアさん格好良かったです。


思えば、最初から運命づけられていたのかもしれません……三勢力が集う天下分け目の戦いが。
勢いは衰えたとはいえ未だ数に勝る強大な同盟軍を前に、シルーカの巡らした計略と、その場でテオが下す決断が、戦場を少しずつ動かしていく。
決してふたりだけの力ではなく、いつかどこかで名前を見た魔法師や、もしかしたら初登場かもしれない地方君主のそれぞれの戦いが、歴史を着実に前に進めていく。主人公たちの圧倒的な活躍ももちろん熱いけれど、多くの人が少しずつ力を発揮して大きなものを動かすのを見るのもまた、戦記ファンタジーの醍醐味ともいえましょう。
最大の戦いは、あっけないといえばあっけなく終わりました。しかし得たものは大きい。
アレクシスとマリーネ。互いに想いあいながらも結ばれることのなかった両者。ずいぶんと遠回りをして、互いに間違いも犯した。でもようやくですよ。よかった、よかったよ。
ここにきての、アレクシスのこの天然キザったらしぶりには、やれやれという感じですが。薔薇て(笑)。
さて、「グランクレスト」の誕生を控え、蠢き出した闇。大陸の裏に長く潜んでいた本当の敵に対して、シルーカやテオがどのように立ち向かうのか。次回完結巻、大いに楽しみです。


ええー、アイシェラ、そうだったんかい!