まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ジャナ研の憂鬱な事件簿2』感想

ジャナ研の憂鬱な事件簿 2 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 2 (ガガガ文庫)

ストーリー
海新高校ジャーナリズム研究会のメンバーに今回も難題がふりかかってくる。軽音部の歌姫を付け狙うストーカーを撃退するため、ライブ会場に張り込んだ啓介たち。警備体制は完璧だったはずなのに、ストーカーはひそかにライブ会場へと侵入していた……彼は一体どうやって鉄壁の警備をかいくぐった? そして会場内に残された真冬たちの安否は? 人質をとってナイフ振り回すストーカー相手に、啓介の知略と推理が冴える……(「耳なし芳一の夜」)。青春の光と影と謎をめぐる、「耳なし芳一の夜」ほか三つの短編を収録。

学校の内外の謎や事件の真相を解き明かす学園日常ミステリー第2弾。もはや安定感さえある面白さでした。
今回は全3話の収録だけれど、どれも謎を解いてスッキリというタイプものではなくて、後にはただただやるせなさだけが残る。うーん、苦い青春だ。
ミステリーにしては真相自体はわりあい簡単に予想がつくのですが、この作品の魅力はむしろ、謎の解決を通して周囲の人々の思いや生き様が丁寧に描き出されていくところにあるのではないかと思います。


耳なし芳一の夜」は啓介の友人・良太郎が所属するバンドのボーカルをストーカーから守ろうと奮闘するお話。
昔話・耳なし芳一についての啓介の解釈が面白く、また登場する新キャラの女の子・由香子もなかなか魅力的で楽しく読んでいたら、思ったよりもだいぶ大きな事件へと発展していきました。この作品、学園ミステリーのわりに、扱う事件は結構重大だったりするんですよね。
「手紙」はユリの姉の元に届いた差出人不明の手紙の意味を解き明かすお話。
手紙1枚に隠された謎を紐解いていく、ミステリー的には今巻中でいちばん好みの回でした。推理していく中で3種類の説が浮かびあがり、それぞれの説の整合性と矛盾点を少しずつ検討していく過程がとても楽しい。でも結末はやっぱり重い……。


「キマイラの短い夢」は1巻の時から語られていた啓介の中学時代のトラウマが明かされるお話。
この回もまた心にクるというか、今さら真実を解き明かしたところで誰も救われないっていうのが、なんともやりきれないところです。
作中作の演劇、面白そうだったなあ。なんでこうなっちゃったのかなあ。
真冬の卒業後の進路なんかも話に出てきましたが、それを知ったときに啓介の心がちょっと揺れていたのが印象的でした。
さすがに真冬が卒業したら最終回かなと思いますけど(そしてそこまではぜひ続いてもらいたいけれど)、それまでに啓介と真冬の関係も少しずつ変わってゆくのでしょうか。淡い期待を持っておくことにします。


エクセレントなプリン食べてみたい……と思ったら実在のお店なのね。