まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

リア充になれない俺は革命家の同志になりました1

リア充になれない俺は革命家の同志になりました1 (講談社ラノベ文庫)

リア充になれない俺は革命家の同志になりました1 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
スクールカースト最下層に位置する白根与一は、ある日担任からいきなり図書部に入るようにと命じられる。
図書部の廃部にハンストで抵抗する問題児を止めるための監視役だという。
どんなおかしな奴が待っているのかと恐れながら部室に行った白根だが、彼を迎えたのは清楚可憐な美少女で……。



「お茶碗持つ手のほう」の中でもかなりの過激思想を持つヒロインとともに、学園内に根付くスクールカーストの粉砕を目指す学園青春革命ストーリー。
ライトノベルならぬレフトノベルとは誰が言ったか……しかし面白かったです。危険なヒロインって、魅力的ですよね。
革命家として孤高を貫きつつも同志との繋がりを求め、そしてブルジョワジーな友人との友情も捨てきれない、不器用で面倒くさくてでも格好良くてときどきキュンとくる、圧倒的なヒロイン像。うーん、参った。


高校入学早々、クラスでぼっちというスクールカースト最下層の位置に自分から下りて行った主人公・白根。
彼が命じられて入部した「図書部」にいた問題児ちゃん・黒羽は、なんととびっきりの黒髪美少女、でもその口から出てくるのは、「あっち側」の思いっきり過激な思想ばかりだったのです!
いやあ、格好良いですね、革命家ヒロイン。成績は有無を言わせぬトップ、運動もピアノもちょっと教えられただけですぐにこなせる大天才。なろうと思えばすぐにスクールカースト最上位にでもなれるだろうに、彼女が選んだのは「ソロ充」の道……。学園の体制を破壊しつくすためにせっせと地下活動に励む危険な天才美少女の姿にゾクゾクしちゃいます。
左も右も、詳しいことは知らないんですけど、プロレタリアートだのオルグだの自己批判だのって用語がゴロゴロ出てきて、ここまでネタにしちゃえるのが凄い。このご時世に。いやむしろ、このご時世だからなのかな……。


黒羽が戦うのは、国の政治がどうこうではなく、あくまで(現状は)スクールカーストの破壊のため。
作中のリア充たちは、また絶妙にイヤーな感じに、でもリアルに描かれているから、思わず彼女を応援したくなってしまいます。
そんな中で図書部に入ってくるのが、学年きってのリア充=支配者階級にして経済的にもブルジョワジーな小学校以来の友人・中禅寺。
もちろん彼女は黒羽にとって「敵」だから、できるだけ遠ざけようとするんだけれど、友人ゆえに決して憎んでいるわけではなく……かと言って思想を理解してもらえるはずもなく。狭間で不器用に突っ張る黒羽の姿が妙に微笑ましくて、同時に切なかったです。
そもそも誰を倒せば革命が成るのか分からないくらいに、学園におけるカースト制度は強大なもの。今回のラストでも、黒羽と白根がようやくリア充たちに一矢報いたかと思いきや、結果はこうだったし、試合に勝って勝負に負けたというか……。
この大きな大きな敵を相手に、このカリスマじみた革命家の少女と、その同志たる主人公がどう戦っていくのか。革命が成るにしろ成らぬにしろ、彼らの青春はきっと鮮烈に輝くはずです。恋愛や中禅寺たちとの友情方面も含め、続きが楽しみでなりません。


イラストは有坂あこさん。黒羽と中禅寺の対照的なキャラデザがいいですね。
そんな中お気に入りなのは足尾さん。


なんだかんだで中禅寺にドキドキしちゃうから真のリア充って凄いよな……。