まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。』感想

お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。 (ファンタジア文庫)

ストーリー
孤独を恥じず、集団に属することのストレスを何よりも嫌う。ひとりで過ごす時間が最高の贅沢――おひとり様至上主義な高校生・姫宮春一は理想の学園生活を謳歌していた、はずなのに。学園の完璧ヒロイン・美咲華梨から友達作りを手伝うと言われ、趣味がドンピシャに合うクール美人・羽鳥英玲奈には懐かれる。――そんなおひとり様ライフを邪魔される状況を春一は許さない!「ひとりが寂しい? 余計なお世話だバカヤロウ!!」めんどくさい性格ゆえに自らフラグを折りにいく春一だが、なぜか美少女たちは誤った方向に絶賛、逆に注目を浴びてしまって!? ひねくれボッチートな青春ラブコメ、堂々開幕!

彼はぼっちを愛している
孤独を愛する主人公と、そんな彼にやたら構おうとするスーパーリア充ヒロインが織りなす、ぼっち vs リア充な学園ラブコメディ!
おー、これは楽しい。最近よく見る題材ではあるけれども、ぼっちながら決して人間嫌いなわけではなく、やろうと思えば他人とのコミュニケーションも普通に取れる、そんな主人公像が案外新鮮で、かつちょいちょい共感できるところもあって面白かったです。
クラスのアイドルなリア充女子と、クール系隠れサブカル好き女子、このダブルヒロインもそれぞれ魅力的で良かった!


集団に所属するのが嫌で、独りでいることを愛する生粋のぼっち貴族高校生・姫宮。担任に言われてクラスの親睦会の幹事をすることになるのだけれど、そのパートナーに立候補してきたのはクラスでも一番の美少女にして性格も完璧な女の子・美咲だった!
ぼっちの主人公に対してヒロインが構ってくるという構図自体はわりとラブコメあるあるというか、特にここのところ結構見かけるテーマだと思うんですが、やっぱり楽しいんですわ。なんなんだろうねこの楽しさ。あれかな、みんなの憧れの君に興味を持ってもらいたい、でも自分からは行きたくないという行動力のないモテないオタク(僕のことである)の欲求にハマるのかな……否定できないな……。
みんなと一緒の方が楽しいとする根っからのリア充思考な美咲はどうにか姫宮を周囲に溶け込ませようと画策するのだけれど、孤独至上主義の姫宮の方は全くそれを望んでおらず、むしろ美咲のことを厄介にすら思っているという認識のズレが可笑しい。
実際、独りの方がいいことっていっぱいあるよね。結構分かっちゃう。さすがに姫宮みたく一生独身でいたいとまでは思わないけども……姫宮も美咲も極端すぎるんだよなぁ……。


美咲が本当にいい奴なんだと思ったのは、姫宮の生き方のスタンスを聞いて、自分の押しつけをちゃんと謝れるところです。真のリア充ってやつは相手への理解もちゃんとできるんだなあ。
しかし理解した上で、敢えて美咲が姫宮と一緒にいようとするのもまた彼女の自由というもの。そのカラッとした生き方がまた心地いいですね。こんないい子からこれだけグイグイ来られて、ただ面倒だと思える姫宮の固い信念にいっそ敬服するよ……。
もう1人のヒロイン・羽鳥も交えて、女の子たちと一緒に過ごす時間が次第に増えてくる姫宮。この羽鳥は、普段はクールで大人っぽい美人なんだけれども、いざ趣味の話になると途端に饒舌になっちゃう隠れサブカル系女子で、羽鳥の前でだけ本当の姿を見せてくるところが実に可愛らしいヒロインでした。
姫宮は孤独を愛するけれど、別に他人が嫌いなわけではないし、普通にお喋りもできる。だから彼女たちとのお出かけもなんだかんだで楽しめる。クラス内のごたごたも、いざというときには意外なやり方で解決に導いちゃったりする。ただ、独りが好きというスタンスは最後まで変わらない。なんなんだ、やたら頼りになる上に無駄に格好良いなこのぼっち野郎。
どれだけヒロインたちが魅力的でも流されない姫宮の姿にいっそ安心感さえ覚えるのだけど、ラブコメ的にはもう少し流されていいと思うぞ! 今後は恋愛方面に動きがあるかな、あってくれるといいな。ぶっちゃけ美咲も羽鳥も可愛すぎて選べない―! こまるー! ともあれ次巻を楽しみにしています。


イラストはあゆま紗由さん。最近一押しのイラストレーターさんですな!
あゆまさんの描くリア充女子が本当に好きなんだ……。


プロローグの名もなき少女のことが気になってしょうがないんだけど。