まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

魚里高校ダンジョン部! 藻女神様と行く迷宮甲子園

ストーリー
魔物の巣くう迷宮を探索し、ポイントを競うスポーツ、ダンジョン競技。
「甲子園」を目指して魚里高校ダンジョン部に入部した須田タツマは、純血のヒト族だという理由で監督に退部を告げられてしまう。
部への復帰を果たすため、ある女神から守護をもらおうと謎のダンジョンへ挑むタツマだったが……。



第16回えんため大賞<特別賞>受賞作品。
ダンジョンでモンスターを倒しポイントを稼ぐ「ダンジョン競技」に、不利なヒト族の身でありながら、守護女神様の助けを借りつつ挑戦していくスポ根青春アクションです。
ダンジョン攻略が部活になっていて、異種族の部員たちと協力して甲子園を目指すっていうコンセプトが新鮮で、楽しく読めました。
(誰がなんといおうと)メインヒロインの藻女神ことオルタ様が可愛い。ビジュアルはちょっと怖すぎるけどでも可愛いぞ!


甲子園を目指して名門部の門戸を叩いたはいいものの、リザードマンやら天狗やらといった種族が溢れるこの世界、「ただのヒト」な主人公・タツマの肩身は狭く。
亜人優位主義者な監督から一方的に退部を突きつけられて諦めかけたところで、運命を一変させる(かもしれない)出逢いが訪れる展開が熱い。
タツマが出逢った藻女神・オルタ様は、見た目は“短剣から生えた黒髪の群れ”で、見た目は完全にホラー! なヒロインです。
タツマのことを想ってご飯を作ったり魚を釣ってきたり、やってることはとても健気で愛おしいのだけれど、その見た目のせいでただタツマをビビらせる結果に終わってしまうところがなんとも切ない。
でも、それでも一生懸命タツマのために働こうとする姿から、彼のことを本当に大切に想っているんだってことが伝わってきて、ちょっとキュンとしてくるのでした。


タツマとその友人たちとで構成された「二軍」。対するは嫌味なあの監督が率いる名門の「一軍」。
自分の価値観に縛られている分からずやの監督に、二軍の選手たちがその実力で目に物見せてやる! スポ根一直線の展開! 最高に燃えるね!
チームメイトで親友のカヤとイクアラはもちろん、対戦相手の一軍メンバーたちも、いざ戦ってみれば気のいい面々ばかり。
戦略に富んだチーム戦ももちろん楽しかったのですが、主人公と敵エース、パワータイプ同士、スピードタイプ同士と、各ライバルとの間で行われるタイマンバトルが素晴らしく胸アツでしたね。
どんないざこざがあろうと、選手として戦う者には関係ない。スポーツマンとしての、気持ちのいい戦いっぷりを存分に見せてくれました。
この愉快なメンバーで、甲子園に向けて今一歩を踏み出したと思うと、これからの展開にワクワクが止まりません。次巻も楽しみです。


イラストは冬空実さん。オルタ様の人型、夢に出そう……。
あと水着のウィリス。でかい。こっちはむしろ夢に出てほしい。


文章だからいいけど、いざアニメになったら正気度だだ下がりしそう。