まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ファーレンハイト9999

ファーレンハイト9999 (ダッシュエックス文庫)

ファーレンハイト9999 (ダッシュエックス文庫)

ストーリー
アニメ、漫画、ゲーム、ラノベ、フィギュア等、「オタク」文化全てが規制の対象となった現代。
オタクを取り締まる警視庁焚書課の高校生捜査官・維刀臥人は、中学生の先輩・奏手イリナとともに違反者を検挙し続けていた。
だが、隠れオタクである臥人はその裏で焚書課を裏切り、規制に反逆する活動をおこなっており……。



第13回スーパーダッシュ小説新人賞<大賞>受賞作品。
オタクが規制された日本を舞台に、表と裏のふたつの顔を持った主人公が暗躍するバトルアクション。
オタク文化を愛しながらも、表向きはアニメやゲームを摘発する仕事に就き、その裏でオタク達のために抵抗運動を続ける主人公という設定が格好良かったですね。


焚書課の人間ということで、アニメや漫画が大好きな学校の生徒たちからは嫌われ者の主人公・臥人。
しかして彼の本当の顔は、焚書課に対抗しオタクの検挙を邪魔して回る“白亜の聖堂騎士パラディン)”エルガットだったのだ!
思わずなんじゃそりゃ、と突っ込みたくなる設定ですが、しかし古今東西の物語において、秘密の変身ヒーローというものは王道中の王道。
弱きを助け強きをくじく、しかし正体は決して明かさないまっすぐなヒーロー……という感じで、なんだかんだで結構燃えますね。
一方、ヒロイン・イリナは、心の底からオタクを嫌っており、焚書課の活動に喜びを見出している少女です。
彼女がなぜここまでオタクを憎んでいるのか、そして彼女の心を動かすことはできるのか、というところは、お話の大きなキーになっていたのではないかと思います。


焚書課としての活動と、レジスタンスとしての活動、両面の捜査から次第に明らかになっていく大事件。
正直ストーリーのあちらこちらでだいぶ無茶苦茶だなと思うところもありますが、勢いに乗ったまま突き進むこの感じは嫌いじゃありません。
個人的には、アクション以上にスパイ要素を掘り下げて欲しいですね。今後の巻で警視庁内の話とか期待しちゃってもいいでしょうか。
それから、もちろんイリナのことも気になります。なんてったって金髪ロリで偉そうなお嬢様ですから、要素だけ見れば私の好みドンピシャなのです。今回はそこまでグッと来るところがなかったので、可愛いところをいっぱい見せてもらいたいなと思います。
あ、棗さんもかなり好みなのでお願いします。藍はわりとどうでもいいです。


イラストは一色箱さん。カラーページが雰囲気出ていてよかったです。
臥人とエルガットの描き分けも好き。


あとがきに知り合いの名前がバッチリ載っている。