まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『弱キャラ友崎くん Lv.7』感想

弱キャラ友崎くん Lv.7 (ガガガ文庫)

ストーリー
俺をとりまく環境の変化は劇的で。けれど、そんなことはお構いなしに時間は進んでいく。菊池さんとの脚本、みみみとの漫才、それぞれに取り組みながら、日南から課された課題にも挑んでいく。文化祭の準備もいよいよ佳境。演劇の練習が、ついに始まった。登場人物と演者のイメージを近づけるため、俺と菊池さんは「日南の過去」を取材することになるのだが……? 掛けられた言葉。誠実の意味。向き合った、彼女の気持ち。俺の、俺たちの――。一度きりの文化祭が、幕を開ける。

※今回の感想ちょっとネタバレ多めかもなんで未読の方ご注意※


ぎゃあああああ、こういう展開になったかあああああ!!!!!
いやあ、ここまで来たら友崎がどういう選択をしても認められるかなと思っていたんだけれども、やっぱりクるわ……。この感覚、なんだか久しぶりだわ……。
僕の応援していた子は、どこまでも素敵で格好良くて魅力的なヒロインだったよ。それだけは間違いない。それだけに辛い。寝る前に読むんじゃなかった(午前3時に頭ギンギンになって翌日の仕事に響いた顔)。


あの告白の後、お互いにギクシャクしてしまい、いつものノリで接することができなくなってしまうみみみと友崎。
いつも明るく朗らかなみみみが、こういう風にテンパっちゃうのがまた微笑ましくて可愛らしい。
文化祭での友崎との漫才も、夫婦漫才を提案しておきながら自分でめっちゃ照れてたり、なんだこの可愛すぎる生き物。魅力値振り切れてない? 大丈夫?
一方で、菊池さんとの演劇の脚本作りの方も、こっちはこっちでいい雰囲気に。やっぱり素の友崎の方でいうと、菊池さんのペースが合っているような気もするし、彼女は友崎がいなくなったらだめになっちゃいそうで……あーほんと、恋愛ってのはどうして1人を選ばなきゃいけないんだろうな!!(クズの思考)


2人との文化祭準備の中で、自分の恋心に対してようやく素直になれた友崎。この選択を下すまでに色んな遠回りをしたけれども、友崎は友崎なりにどこまでも誠実に彼女たちのことを考えて、自分の想いを確かめて、それで決めることができて。
だから、やっぱり友崎はいいやつだと思うし、この選択に文句なんて付けられないんだけれど。
でもそういう理屈じゃどうにもできない読者としても思いもあって、そんなわけでこれだけ言わせてほしい。


どうしてそうなっちゃったんだよおおおおお…………。


ばーかばーか。ふざけんな。あんなに素敵な女の子を泣かせやがって。こんにゃろう絶対許さない。
あの子もあの子ですわ。なんでそこで背中を押すようなことしちゃうの!! もうほんと、そういうところ―! そういうところが好きー!
あー切ない。切なすぎるけどこれが青春、これが恋ってやつなのかもね。うまいこといかないもんですわ。
推しヒロインの失恋、なんだか最近あんまりなかったので凄い久々の感覚なんだけど、思い出したわ。すっげー辛いんだわ。ハートにね。ナイフがグサー突き刺さって血がドバー出よるんですわ。
友崎の野郎、この結果が良かったなんて意地でも言わないからな。でもこっちは一応言っとく。おめでとう。
さて。リア充への大きな階段をまた一段上った友崎ですが、ここからどういうストーリー展開が待っているのか想像も付きません。
今回も少しずつ明かされた日南の謎が、大きな物語の鍵として作用してきそうですが。
正直、読むモチベーションがちょっと下がったことは否定しない……が! でも読むぞ、気になるもの!


たまちゃんの魅力に気付くとは、竹井、案外鋭い男よ……。

『友達の妹が俺にだけウザい』感想

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

ストーリー
馴れ合い無用、彼女不要、友達は真に価値ある1人だけ。青春の一切を「非効率」と切って捨てる俺・大星明照の部屋に入り浸るやつがいる。妹でも友達でもない。ウザさ極まる面倒な後輩。親友の妹、小日向彩羽。
「セーンパイ、デートしよーーっ!……とか言われると思いましたー?」
血管にエナジードリンクが流れてそうなコイツは、ベッドを占拠したり、寸止め色仕掛けをしてきたりと、やたらと俺にウザ絡みしてきやがる。なのに、どいつもこいつも羨ましそうに見てくるのはどういうワケだ? と思ったら彩羽のやつ、外では明るく清楚な優等生として大人気らしい。おいおい……だったら、どうしてお前は俺にだけウザいんだよ。

「友達の妹」と「ウザヒロイン」というパワーカード2枚を贅沢に使ったオタク1本釣りみたいな学園ラブコメディ。こんなん読むしかないでしょ!
……と喜び勇んで読んだのですが、うーん。読む前のハードルが高くなりすぎたせいか、ビミョーに期待していた方向性とは違ったかなあ。
ヒロインはちゃんと可愛いんですけどね。主人公がちょっとね。主人公のことが好きになれるかどうかって、ラブコメでは結構大事なんですよねえ。


ヒロイン・彩羽のウザ絡みがかわいい。結局何が読みたいかってこれなんですよこれ。友達の妹(美少女)が自分の部屋に入り浸っては「センパイ(はぁと)」とか言っておちょくってくるの最高じゃない? 最高だよね?
友達の妹っていう立ち位置。これがいい。友達でもなく赤の他人でもなく、近いようでいてどこか遠いような……ちょっと禁断の関係っぽいイメージもあるし、なんとも言えない良さがあるんですわ。
これだけはっきり好意を向けられていてそれに全く気付かないどころか「意地悪してくるんだから嫌われてる」と思い込む主人公は本当にどうかしてる。誰がどう見ても嫌ってる人間に対する絡み方じゃないだろうがよぉ……何を見てるんだお前はよぉ……。
まあ本音を言えば、もっと振り切ったウザっぷりを期待してた部分はあります。だって全然ウザくないんだもの。主人公が勝手にウザいと思ってるだけで。タイトルにするくらいなんだから、もっともっと主人公のことを振り回してほしかったかなあ。


学校では平凡で影の薄い存在だという主人公だけれど、そんな彼にはゲームアプリ制作チーム「5階同盟」のリーダーという裏の顔が。
ほんと個人的な感情で申し訳ないんですけど、あー、ゲーム作っていくタイプのラブコメかあ……とここで少々意欲低下が……。いや、ゲーム制作ラブコメってなぜだかわりと見かけるんですけど、ぶっちゃけ全然興味がないんですわ。ラブコメの主軸はちゃんとラブコメであってほしい派だし。今のところクリエイター的な部分がメインではなさそうなのでいいんですけど。
表向きは冷徹な女王様にして裏では主人公に頭が上がらない変態美人教師とか、ゲームのキャラの声を全て当てている謎の声優とか、チームのそれぞれのキャラクターは立っているので、そっちの方面での面白みはあるかなと思います。
そんなメンバーの中に飛び込んできた主人公の従姉妹にして幼馴染みの真白。初めは主人公を避けていながらも色々あってみんなと打ち解けた彼女の参入が、彼らの輪にどんな波紋を呼び起こすのか……。ラブコメ的な嵐の予感がするぜ。


こんなに目立ちそうな言動ばかりしてる主人公の影が薄いっていうことだけが、どうしても理解できない。

『七つの魔剣が支配するIII』感想

七つの魔剣が支配するIII (電撃文庫)

ストーリー
オフィーリアが魔に呑まれ、ピートがその使い魔に攫われた。キンバリーの地下迷宮に消えた生徒数の多さに、学園内は厳戒態勢が敷かれる。学生統括のゴッドフレイをはじめ、上級生らが奪還に向かうも救出活動は難航していた。迷宮の深みに潜む魔女を相手に、自分たちに何が出来るのか? 苦悩するオリバーらに、ある人物が取引を持ちかける。それは彼らにとっての光明か、それとも破滅への誘惑か。目指す場所は地下迷宮の更にその奥。想像を超えた環境と罠、恐るべき合成獣たちが行く手を阻む。果たして彼らはサルヴァドーリの工房にたどり付き、友人を取り返すことが出来るのか――。

魔に呑まれたオフィーリアによって連れ去られたピートを救うため、ミリガンとともに迷宮探索へ!
一寸先は闇、死と隣り合わせの魔の迷宮へ、友人のために潜り込んでゆく。これぞ王道の冒険譚というもの!
敵役となってしまったオフィーリアがどのようにして魔に落ちていったのかという顛末は、孤独で悲しく救いのない、しかし最後だけは美しい……胸に残る物語でした。


頼りの先輩ミリガンとともに迷宮に潜ることになった選抜メンバーは、ナナオ、オリバー、シェラ。
第三層の奥に存在するというオフィーリアの工房を目指し、ミリガンの指導を受けながら一歩一歩闇の世界へ。様々に姿を変えて侵入者を追い詰めてくる、魔法の迷宮の罠やモンスターの数々。緊急事態になんだけど、やっぱりワクワクしちゃうね!
何も知らずに迷い込んだら命はない、そんな危険に満ちた道のりを、未熟な部分もありながらもそれぞれの才能を発揮して踏破していくナナオたち。一足飛びに成長を遂げていく感じが熱いです。
しかしつくづく感じるのが、ミリガンら上級生たちとの力量の差。オリバーもシェラも1年生ではエリートなのに、こうまで違うものですか。ミリガンとの戦いは本当にギリギリで勝ちを拾ったようなものだったんだなあ……。


学園中から危険視される魔女オフィーリア。そんな彼女はしかし、どのようにして魔に呑まれるに至ったのか。ナナオたちの冒険の裏側で少しずつ語られていく魔女の物語は、むしろ本編以上に胸に刺さりました。
呪われた生まれを持ち、唯一の友人とともに学園に入って、ようやく少し素敵な未来が見えたかと思ったのに。これもまた魔法使いの、キンバリーの闇というものか……。
オフィーリアとカルロス、そしてゴッドフレイ。かつての友人たちで、いつまでも笑っていられればよかったのに。この結末は切なすぎるよ。
宿敵・リヴァーモアも地味にいい仕事してたなあ。ほんと、キャラクターに深みを持たせるのが巧いんだよなあ。
次からは二年生ということで、意外に時が流れるのが早いですね。今度は少し優しいお話を期待したいけれど、そうもいかない……のか?


ミリハンちゃん、マスコットキャラとして人気出そう。