まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『七つの魔剣が支配するIII』感想

七つの魔剣が支配するIII (電撃文庫)

ストーリー
オフィーリアが魔に呑まれ、ピートがその使い魔に攫われた。キンバリーの地下迷宮に消えた生徒数の多さに、学園内は厳戒態勢が敷かれる。学生統括のゴッドフレイをはじめ、上級生らが奪還に向かうも救出活動は難航していた。迷宮の深みに潜む魔女を相手に、自分たちに何が出来るのか? 苦悩するオリバーらに、ある人物が取引を持ちかける。それは彼らにとっての光明か、それとも破滅への誘惑か。目指す場所は地下迷宮の更にその奥。想像を超えた環境と罠、恐るべき合成獣たちが行く手を阻む。果たして彼らはサルヴァドーリの工房にたどり付き、友人を取り返すことが出来るのか――。

魔に呑まれたオフィーリアによって連れ去られたピートを救うため、ミリガンとともに迷宮探索へ!
一寸先は闇、死と隣り合わせの魔の迷宮へ、友人のために潜り込んでゆく。これぞ王道の冒険譚というもの!
敵役となってしまったオフィーリアがどのようにして魔に落ちていったのかという顛末は、孤独で悲しく救いのない、しかし最後だけは美しい……胸に残る物語でした。


頼りの先輩ミリガンとともに迷宮に潜ることになった選抜メンバーは、ナナオ、オリバー、シェラ。
第三層の奥に存在するというオフィーリアの工房を目指し、ミリガンの指導を受けながら一歩一歩闇の世界へ。様々に姿を変えて侵入者を追い詰めてくる、魔法の迷宮の罠やモンスターの数々。緊急事態になんだけど、やっぱりワクワクしちゃうね!
何も知らずに迷い込んだら命はない、そんな危険に満ちた道のりを、未熟な部分もありながらもそれぞれの才能を発揮して踏破していくナナオたち。一足飛びに成長を遂げていく感じが熱いです。
しかしつくづく感じるのが、ミリガンら上級生たちとの力量の差。オリバーもシェラも1年生ではエリートなのに、こうまで違うものですか。ミリガンとの戦いは本当にギリギリで勝ちを拾ったようなものだったんだなあ……。


学園中から危険視される魔女オフィーリア。そんな彼女はしかし、どのようにして魔に呑まれるに至ったのか。ナナオたちの冒険の裏側で少しずつ語られていく魔女の物語は、むしろ本編以上に胸に刺さりました。
呪われた生まれを持ち、唯一の友人とともに学園に入って、ようやく少し素敵な未来が見えたかと思ったのに。これもまた魔法使いの、キンバリーの闇というものか……。
オフィーリアとカルロス、そしてゴッドフレイ。かつての友人たちで、いつまでも笑っていられればよかったのに。この結末は切なすぎるよ。
宿敵・リヴァーモアも地味にいい仕事してたなあ。ほんと、キャラクターに深みを持たせるのが巧いんだよなあ。
次からは二年生ということで、意外に時が流れるのが早いですね。今度は少し優しいお話を期待したいけれど、そうもいかない……のか?


ミリハンちゃん、マスコットキャラとして人気出そう。