まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『サブヒロインだって攻略されたい! ルートがなくても愛してくれますか』感想

サブヒロインだって攻略されたい! ルートがなくても愛してくれますか (MF文庫J)

ストーリー
サブヒロイン――それは、物語の中心となる少女ではなく、二番手三番手ヒロインの総称。今、エンタメ業界において“推しのサブヒロインが幸せになれないことによるユーザーの怨念”がウィルスとなり、さまざまな作品の関係者を蝕む怪奇事件が発生していた。解決方法は、作品の世界に飛んで報われないサブヒロインを幸せにするしかないという。超人気イケメン俳優でありながら、コアなオタクである主人公・佐藤セイヤは、その技術と趣味を見込まれ「サブヒロインを幸せにする」任務に就くことに!? 小悪魔だけど健気な後輩・真田莉瀬、気立てのいいギャル・池袋愛華――セイヤは彼女たちを攻略して幸せにできるか!?

タイトルに一本釣り食らって読んだ! 主人公に選ばれなかったサブヒロインたちを物語の中に入り込んで救済していく押しかけラブコメディ。
てっきりサブヒロインっぽい女の子たちと学園ラブコメをやっていく作品だとばかり思い込んでいたのですが、ちょっと違いました。
恋愛アドベンチャーのサブヒロインルートを次々とクリアしていく感覚でしょうか。これはこれで楽しかったです。サブヒロインならではのちょっと一歩引いた感じが愛おしい。


物語のサブヒロインが報われないことに対する怨念の蓄積によって発生する「ロストヒロインウィルス」から人々を守るため、物語の世界に飛び込んでサブヒロインを幸せな恋に落とせ! 「物語の世界のサブヒロインとラブコメする」というお話のための説得力とかリアリティとかガン無視したトンデモ設定がいっそ清々しくていいね(笑)。
サブヒロインの攻略。いい響きですわ。ラブコメを読んでいて、メインヒロインよりも明らかな負けヒロインを応援したくなるときってどうしてもある。なんでそんな選択をしちゃうんだよおーと切なくなってしまうこともある。そんな物語の世界に入り込んで、彼女たちの恋を成就させることができたら! うーむ、妄想が捗りますね。


今回登場する(攻略される)サブヒロインは2人。恋愛ドラマに登場する生意気な後輩・真田莉瀬と、異能バトルラブコメの女友達キャラ・池袋愛華
両者に共通しているのは、近くに圧倒的なメインヒロインたちがいるからこそ、少し萎縮というか控えめになってしまっているということ。
主人公への想いを秘めながらも自分よりもメインヒロインの気持ちを優先してしまう莉瀬。パーフェクトな美少女ヒロインたちの中、自分に自信が持てなくなってしまっている愛華。負けヒロインオーラが漂っているってこういうことか……と思わせられるけれども、逆に言うとそんな弱気な部分こそがサブヒロインの魅力ではないでしょうか! 幸せにしてあげたいって心から思えるんだ……。
二人ともかなり可愛かったけれど、特に愛華は良かったなあ。お話の構造上たぶん再登場することはないんでしょうが、もったいないくらいです。
次もこの調子でサブヒロインを攻略していくのかな。メインヒロインががっつり絡んでくると、「どっちを選ぶべきか」みたいな、もっと違った味わいのお話にもなりそうですが。
女性が苦手なイケメン俳優・セイヤくんの成長ぶりにも一応注目してる(笑)。


イラストは萌木雄太さん。セイヤが普通にイケメンでなんだかムカつくな……イケメンは敵……イケメンは敵……。
パンチラに無防備なギャル、とても良いと思います。


最終的には紗理奈ルートに入るのかな?

『ちょろいんですが恋人にはなれませんか?』感想

ちょろいんですが恋人にはなれませんか? (GA文庫)

ストーリー
お人好しの高校生、征斗はある日、困っている3人の少女、香乃、澪、瑠璃を立て続けに助けるのだが――
「「「あなたのことが、好きになってしまいました!!」」」
たった5分ほど会話しただけで恋に落ちてしまった彼女たちは、三人同時に征斗へ告白してきてしまう。そう、少女たちは簡単なことで相手を好きになってしまう“ちょろい”女の子=“ちょろいん”だったのだ! あの手この手で征斗を振り向かせようとする“ちょろいん”たちと、その勢いに逃げ場なく追い詰められてゆく征斗。だが征斗には、簡単には彼女たちと付き合えない理由が――「うちの居候」シリーズ著者が贈る“恋に落ちてはいけない”ラブコメ開幕!

出会ったばかりなのに「ちょろいん」3人から告白されてしまう、ちょろ甘学園ラブコメディ。
ちょろいんの3人はそれぞれ可愛らしいのだけど、それより主人公の裏の顔が突飛すぎてなんだか笑ってしまった……。
個人的には本来ツンデレなのに「ちょろいん」が故にツンになりきれてない澪ちゃんを推す!


悪漢から助けたことがきっかけで恋に落ちた少女・香乃。子猫を助けたことがきっかけで恋に落ちた少女・瑠璃。水道管の破裂から助けたことがきっかけで恋に落ちた少女・澪。それぞれ5分、10分、15分……ごく短時間で恋に落ちてしまった「ちょろいん」3人から翌朝一斉に告白されてしまう!
ギスギスしそうなところ、同じ人を好きになった仲間として3人で勝手に仲良くなっているのが平和的でいいですね。健全なライバル関係という感じ。順当にハーレムルートが構築されていくのを感じる……。
また3人の他に、元々の主人公の想い人・亜里沙の存在も。ちょろいん達の押しの強さに負けるのか、元の恋を全うするのか、そのあたりがラブコメとしての見どころでしょうか。


表向きはちょっと正義感の強い普通の高校生である主人公の政人だけれども、実は世界的ハッカー集団のトップだったのだ!
彼がスマホひとつ持って本気になれば、周囲のガジェットは思うがまま……。という感じでヒロインズの危機を救っていくのだけれど、まあぶっちゃけあんまり格好良くはないような。その正義感の強さだけは買いますが。
世界の犯罪組織からも狙われる彼の身柄。だからこそ近寄ってくる女子に安易に心を許すわけにはいかない……という理屈で、ちょろいん達にもなかなかなびかない。ラブコメの主人公としては結構な難攻不落ぶりではなかろうか。んー、男の方もちょろいくらいの方が可愛げがあって好感が持てるけどね。
今後の展開としてはスパイ行為を行っている人物を探りつつ、3人のラブコメ攻勢に対抗していく……という感じなんでしょうか。「ちょろいん」というのは結局のところ、恋するまでが早いというだけの特徴であって、以降の展開にはあまり意味を成さないような気もするので、ここから各ヒロインの魅力をどう描いていけるかがポイントかなと思います。


イラストはTwinBoxさん。表紙の絶妙なパンチラに魂を感じるぜ。
キャラデザでは瑠璃が好きかも。


いつも思うけどちょろいんの初恋ってすごい矛盾感……。

『ようこそ実力至上主義の教室へ9』感想

ようこそ実力至上主義の教室へ9 (MF文庫J)

ストーリー
綾小路への宣言通り、ついに坂柳有栖による一之瀬帆波潰しが始まった。暴力沙汰、援助交際、窃盗、強盗、薬物使用の過去があるといった一之瀬への誹謗中傷が学校中に広まっていく。噂の出所は間違いなく1年Aクラス。Bクラスの神崎らが止めにかかるが証拠がない。さらに一之瀬の動きも消極的。膠着した状況の中、ある人物が綾小路の前に現れる。「坂柳を止めてよ。あんたならそれが出来るんじゃないの」1年Aクラスの神室の要請に対し綾小路が下した決断は? そして櫛田桔梗が生徒会長の南雲雅に接触し、学校内に不穏な空気が流れ始め――。大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第9弾!

みんな大好き一之瀬帆波回! 坂柳による一之瀬への卑劣な追い詰め策を、綾小路がどうクリアしてゆくのかが見どころの巻でした。
坂柳はえらいラスボス感出してるわりに、やり口がちっちゃいというかなんというか……。特別試験がないときのこういう陰謀回は、どうもみんなセコく見えてしまうのだよなあ。
綾小路の暗躍が上位層に漏れつつあるのは、本人は嫌がりそうだけれど、派手な活躍をもっと見たい一読者としては歓迎すべき兆候かも……?


何者かの手によって広められた、一之瀬への噂話。当然疑われるのは宣戦布告をした坂柳だけれども、証拠は見つからない。
せっかく特別試験のない時期だというのに、相変わらずギスギスの耐えない学校ですわ。絶対に通いたくないでしょこんなクラス。
今回のターゲットとなったのは学年全体でも好感度で一二を争いそうな一之瀬。こんないい子が明確な悪意によって攻撃されているのを見るのは個人的にもムカつくし、恐らくそう思う生徒は多いはずで、そんな人望のある相手でもぶっ潰そうと思えるのは坂柳の自信の現れなのかも。正直、坂柳への好感度はダダ下がりですけどね……。


毎度ながらあくまで裏側に徹した綾小路ですが、そんな彼も何人かの目ざとい生徒からは注目されるようになってきました。
まあ掘北兄に比べれば小物感がすごい南雲生徒会長とか、Aクラスのわりにはセコさ満点の橋本とか、その辺はわりとどうでもいいんですが。やっぱ重要なのはヒロインでしょ!
軽井沢は出番自体は少なめだったけれど安定の可愛さでしたね! もう完全にメインヒロイン枠でしょ。綾小路と軽井沢が2人で話すシーンだけ急にラブコメになるんだもんなあ。もっとイチャイチャしろ。
それから、この騒動の中でどうやら心が揺れ動いたらしい一之瀬にも今後は要注目。彼女もかなり好きなヒロインなので、もし本格参戦してくるとなったら軽井沢とどちらを選ぶべきか迷ってしまうな……。堀北? 君はまず空気ヒロインの座を脱するところから始めて(ストレートな苦言)。
次は1年生最後の特別試験ということで、決算的な回になるんでしょうか。坂柳や南雲、そして今回の「影の立役者」との戦いがどう進んでいくのか楽しみです。


みーちゃんかわいい。幸せになってほしい。