まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『生徒会の周年 碧陽学園生徒会黙示録9』感想

ストーリー
私立碧陽学園生徒会――そこは美少女メンバー四人が集う楽園だが、気づけば十周年。何で会長たちは年を取らないんだろう……なーんて野暮なツッコミは禁則事項ですっ! こいつはめでたいぜワッショイワッショイっていう感じで戻ってきました「生徒会の一存」! 担当編集のパソコンの奥深くに眠っていた文庫未収録の超レア短編に加え、ちょっぴり大人になった生徒会メンバーが集まるファン垂涎の書き下ろし作も掲載のお祭り本の登場だ!! 日々くり広げられる、ゆるすぎる会話。日々費やされる、青すぎる青春。再びいざ行かん少年少女よ、妄想という名の大海原を!

で、出たー! 生徒会シリーズの新刊だぁー! いやいつまで出せば気が済むねん!(笑)
終わる終わる詐欺とか卒業式後のはずなのにねじ曲がる時空とか、こっちがツッコむ前に平然と作中で言及しちゃう(そしてそれが許されちゃう)フリーダムさ加減、変わってないなあ。
久しぶりに読みましたけど、このキャラクター陣はやっぱりいいですね。好きなんですわ。なんだかんだで。


相変わらず文句をつけようと思ったらいくらでもつけられる作品ではあります。
妙に「いい話」で終わろうとしたがるしゃらくさい感じとか、キャラクターの数多すぎてさすがに覚えてねーよとか、あとがき長いネタはもはや飽きたとか、単純にずっとテンション高すぎて疲れるとか(これは僕が歳を取ったからだろうか)、読んでるとまぁー色々噴出してきて、なんだかエラい大傑作のように思えていたけれども、そうそう元々こういう作品だったわ……完結したから美化しちゃってたけど……と妙に可笑しくなりました。
でもそういうところがどうでもよくなっちゃうくらいにね、くりむ会長をはじめとした生徒会の面々が、あの特徴的な口調でヤイヤイやってるだけでやっぱり楽しくて仕方なくて、なんならちょっと泣きそうになっちゃったから、もうだめなんですわ。思い入れ補正ってデカい。
っていうか真冬ちゃんめっちゃ可愛くないですか?(今更) いやもちろん会長も知弦さんも深夏もそれぞれ可愛いんだが。やっぱ真冬ちゃんだわ……可愛いんだわ……。


文庫未収録の短編がアレコレ詰め込まれた結果、収録された短編の初出年にはかなりの開きが。そのせいであとがきが2年前のものと現在のものの2種類あって笑いました。
「永続する生徒会」は卒業間近の生徒会の面々が未来である2016年を想像するというユニークな短編ですが、今となってはもはや2016年も結構前だから時事ネタが古いという二重に面白い話になっていてお気に入りです。アニメ版会議終了のポーズ、懐かしすぎるやろ……。
一番好きだったのは「決着する生徒会」。生徒会の中で誰が最強かを決めるために会長自作の人狼的ゲームで決着をつけるという、実に「らしい」話でした。もちろん笑いもありつつ、ちょっとした頭脳戦の要素もあり、デレたヒロインズの不意打ち気味の可愛さも満点で、良かったです。
そして書き下ろしの「続く生徒会」。ちょっとだけ成長したいつもの面々のいつもの駄弁り回なんですけど、ちょこちょこと『ゲーマーズ!』や『マテリアルゴースト』(!)の世界との繋がりを感じさせる小ネタが入っていて、さらなるノスタルジーが。『マテゴ』のキャラクター名とか、我ながらよく気付けたもんだよ。オマケ・オブ・オマケのご褒美短編でしたね。
さすがにこれで完全に終わりだとは思うけれども、葵せきな富士見書房のことだからいつまた復活してもおかしくないし、もし復活したら何の疑問も抱かずに読めちゃうんだろうな。そんな、読者の中で生き続けるキャラクターたちの凄まじさを体感させられた1冊でした。ありがとー!


「残響死滅」に「十異世界」の文字列で懐かしいゲージがキャパオーバーしたよ……。