『引きこもり勇者VS学級委員長まおう』感想

引きこもり勇者VS学級委員長まおう (ファミ通文庫)

ストーリー
魔王の和平申し出により、勇者はいらない子になった――。そして引きこもりになってしまった彼の前に現れた少女は、学級委員長に就任した魔王！？　毎日何かと訪ねてくる魔王は勇者の部屋にあるゲームに興味津々。一緒に遊んで打ち解けていく二人だったが、ある日魔王が再び学校へ来るよう言い出し、勇者はそれを断固拒否！　やがて事態は勇者パーティと魔王軍を巻き込む一大事に！！　引きこもりか登校か！？　勇者と魔王のファンタジック・コメディ、開演！

引き続きの今年の新人賞を読もうキャンペーン、今回オススメしてくれたのはラノベの王女様（とある王女の書評空間（ラノベレビュー））。ありがとう王女様！
第19回えんため大賞＜特別賞＞受賞作品。引きこもりになった勇者と彼を学校に行かせようとお宅訪問してくる魔王が織りなす現代ファンタジーコメディ。
やー面白かったです。短めの章立てに小さな笑いを詰め込んで、テンポよく読ませてくれました。


来る魔王襲来に向け選ばれし勇者となった少年・山本勇者（本名）。しかしやってきた魔王があっさり人類と和平しちゃったことで勇者はいらない子に！
か、かわいそう。ずっと修行漬けの毎日だったのに急に高校に行けとか言われて、そりゃークラスで変に目立って浮くだろうし引きこもっちゃうのもわかるわ……。
そんな不憫な勇者を学校へと引きずり出そうとやってくる仇敵（だったはずの）魔王ちゃん。しかしこの子、単細胞の上にド天然すぎて、いつの間にやら本来の目的そっちのけで普通に遊びに来る友達みたいな感じに。
まあ、最終的に爆発オチになるあたりはやっぱり魔王だわって思いますが、それにしてもお前ら仲いいな。


すっかり友人となった魔王だけでなく、幼馴染みの魔法使い・エイミーから告白まがいに誘われても、頑なに学校へ行こうとしない勇者くん。さすがは勇者というべきか、何者にも負けない固い信念を持っているな！　まあその信念は別にいらなかったけどな！
挙句の果てには学校と引きこもりを賭けて魔王と決戦することになってしまうわけだけれど、地球最大の戦いのはずなのに背景のスケールの小ささに泣く。
勇者とそのパーティ、魔王、さらには魔王の命を狙う謎の第三者まで入りまじり、最終決戦の扉が開く……！
どんな窮地に立たされても！　命を失いそうになっても！　それでも勇者は立ち上がる！　そう、学校に行かないために……っ！
やっぱスケール小せえな！


イラストは武藤此史さん。今作のイラストも可愛さ満点でよかったですね。特に武道家ちゃん！
お気に入りの1枚はスカートめくりのやつ（笑）。


影のラスボスたるママさんすごい好きです。そのニットはずるいでしょ。