まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

偉大なる大元帥の転身3 行きて、帰りし英雄譚

ストーリー
長期休暇に入り、この機会に自分を召喚した人物に接触しようとするケータに告げられたのは、成績不良者の退校通告。
そんなケータを救うべく、ライラは彼につきっきりの特訓を申し出る。
一方『白の腕』にスカウトあれたイリスは、学院を離れる決意を固めており……。



残念なことに3巻にして完結巻。これからいくらでも世界が広がっていきそうなシリーズだったので惜しいですね。
ついに身バレしたヴェーレスことケータに対し、ふたりの少女がどんな思いをぶつけるのか。そしてずっと謎だった魔王フードゥーの真意は……。
ヒロインそれぞれが魅力を放つ中、やっぱりベスティアリちゃんが可愛いかったです!


お話の舞台は学院を離れ皇国首都「水晶府」へ。
仲間たちより一歩先に「白の腕」にスカウトされたイリス。まだ体験入隊のような形ながらも、早くもその才能の片鱗を披露する機会に恵まれて先行きは明るい感じ。
一方で我らが主人公ケータは、成績不振によりついに退学勧告。まあ、本性を隠し通しながら学院に通うのもいい加減限界ですよね。
ライラに連れられてケータも水晶府へ。そして時を同じくして魔族四天王のふたり、ベスティアリとリンドヴルムも水晶府を訪れ、いよいよタレント勢揃いというところで事件が起こるのです。
いやあ、ベスティアリちゃんはいいですね! 作中一番の癒やしですよ。無邪気に場をひっかきまわしてくれる天真爛漫さが本当にいい。別にロリだからというだけで推してるんじゃないですよ、断じて違いますとも、ほんとです。
まあ終盤も終盤なので、彼女もかなりシリアスなモードではあるんですけど、外見と裏腹の健気なはたらきっぷりがまたグッとくるんですよねえ。


ルクス・アズライト、そしてライラやリンドヴルムによって、完全に正体を明かすことになったケータ。
真実を知り、膨れ上がった激情を爆発させ、魔族大元帥の力を全力で発揮して暴れまくる彼の前に、しかし彼のことを想う少女たちは立ちはだかるのです。
なんだかんだで、最後まで残るのはやはり愛の物語でしたね。ライラはともかく、色々と初耳なイリスなどは混乱の極みだったでしょうけど、ともかくふたりの想いこそが、ケータを打ち倒したことに間違いはありません。
魔王フードゥーも、振り返ってみればどこまでも切ない立場のヒロインでした。彼女にとっても、最後に救いがあったと信じたいです。
これからの恋愛模様や他の生徒たちのことなど、もっと描いてほしかった事柄はたくさんあるのですが、とりあえずは「これから」の見えるエンディングを迎えてくれたことで良しとしておきましょう。竹岡先生の次回作が楽しみです。


魔族大元帥を相手にゼロパーセント呼ばわりしちゃう軍曹マジ軍曹。