まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

命がけのゲームに巻き込まれたので嫌いな奴をノリノリで片っ端から殺してやることにした 1

ストーリー
修学旅行に行くバスに乗っていたはずの新井和馬は、気が付くと見知らぬ空間にいた。
突如現れた謎の女『ナナシ』により、クラスメイトや教師たちと生き残りを懸けたゲームをさせられることを告げられる和馬。
そんな絶体絶命の状況ながら、彼は気に入らない奴を全て殺してやるために、喜んでゲームに参加するのだった……。



第9回HJ文庫大賞<大賞>受賞作品。同級生とともにデスゲームに参加させられた主人公が、普段から気に入らなかったリア充たちを死に追いやっていく頭脳バトルサスペンス。
凄いぞ、主人公がどこまでもクズだ! 別に恨みがあるわけでもないクラスメイトたちを喜々として死なせていく主人公ってどうなんだ……ダークヒーローどころか、ただのゲスである。周りの人間も大概ですけど、主人公が群を抜いてひどかったです!
デス・ミニゲームとでも呼ぶべき、ちょっとしたデスゲームをたくさん見せていく構成が、飽きずに楽しませてくれますね。


修学旅行へ行くバスが事故に遭い、クラスメイトたち全員の精神が連れてこられた謎の空間で開催されるデスゲーム。
90人の中から生き残れるのはほんの僅か。知り合いたちと命を懸けて勝負する、そんな極限状況を心の底から楽しむ男がひとり……主人公の和馬です。
リア充ではあるけれど、別にいじめられたとかそういうこともなく、単純に妬みとリア充憎しの思いだけで、この機に乗じてクラスメイトをみんな殺してしまおうとする性格のねじ曲がりっぷりが凄い。勝利が確定してからの嘲りっぷりなどは、醜すぎてもはや清々しいくらいでした。
そんな彼の力に目をつけて行動を共にするのが、高校生ながら女優として働くクラスの有名人・徹子。
持ち前の演技力を使いながら、彼女もまた和馬に負けず劣らずの黒さを見せつけてくれます。


行われるデスゲームは、少人数ごとに集められて数人の死亡が確定するミニゲーム形式のもの。
チームに残った人数が少ない方が勝つ「白黒ゲーム」や、相手を論理でどかせたら勝利の「吊り橋」など、口先で対戦相手を丸め込む内容が多かったですね。
ポイントは提示されるルールの穴を突くことと、ナビゲーター・ナナシさんに対してひとり一度だけ使える質問の権利。
相手を騙し、味方も騙し、相手の命を奪っては笑う、そんな和馬と徹子の黒すぎる快進撃。こいつら地獄に落ちろと思いつつも、一見敗北確定の状況をひっくり返していくギリギリのゲーム展開に、興奮せずにはいられませんでした。
デスゲームだけでなく、ゲーム参加者の置かれる状況も二転三転していって……最終章の展開は、なかなか爽快感がありましたね!
さて、タイトルにナンバリングが付いているので続刊があるということなんでしょうが、これをどうやって続けるつもりなんでしょうか? 楽しみです。


イラストはともぞさん。徹子さんの笑顔が怖すぎです。
あと口絵のキャラクター一覧の無意味さったらないよね……。


「たけのこニョッキ改」って(権利的に)大丈夫か。