まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

とある飛空士への誓約9

ストーリー
二千年来の悲願であった「天地領有」のために動き出すウラノス
世界の命運をかけ、多島海連合軍首席参謀バルタザールは史上最大の奇襲作戦を立案する。
片道切符の作戦に参加した清顕とイリアは、仲間たちとともに王都プレアデスを目指すが……。



完結巻にして、飛空士シリーズ全体の最終巻。感無量のひと言。
バルタ考案の史上最大の作戦で、プレアデス上空に舞う「空の王」たち。歴代主人公勢揃いとか、こんなのずるすぎるでしょう。
ミオとライナを含めた「七人」が、本当に世界を変えてしまいましたね。終章は期待を遥かに超えるエンディングでした。ありがとう。


ミオからの機密情報をきっかけにして、世界を命運をかけた一大作戦を考案するバルタ。
王都プレアデスをオーディンで急襲。ワルキューレ、セントヴォルト、秋津から精鋭ばかりを集めた多島海最強戦闘機隊をもって、プレアデスを制空する。
勝つ可能性は決して高くありません。それでも、バルタに可否を問われて「勝てます」と言い切った清顕。自分の手でミオを救うために世界を懸けるっていうんだから、熱い思いじゃないですか……。
ついこの間まで、敵味方で戦っていたセントヴォルトと秋津。休戦したからといってすぐに打ち解けられるはずもありませんが、あれだけの死闘を繰り広げた清顕に対して、全く変わらずに接してくれたレオとララ、ルルとの再会が胸に染みます。
一方プレアデスのミオですが、清顕の助けを待つだけではなくて自分から積極的に動いていくあたりが、彼女らしいところ。
それにしても、最後までゼノンは素晴らしい悪役でしたね。この期に及んでまだミオにひどい仕打ちばかり、本当に憎たらしいったら!


ミオが呼び込んだウラノスへの決死の一撃、プレアデス制空戦は、ただただ凄まじい戦いでした。
ウラノスの最新鋭ジェット戦闘機に翻弄されるオーディン戦闘機隊。その弱点を、決死の思いで届けてくれた仲間たち。そして黒豹・カーナシオンとの正真正銘最後の格闘戦。
清顕だけではなく、海猫が、武雄が、カルエルが。4人の「空の王」が、圧倒的な数の差を物ともせずに空を舞う。もはや圧巻すぎて、言葉が出ません。
特に、(個人的な思い入れもありますが)カルエルの飛びっぷりには震えました。なんだよ王子様、格好良いじゃないか。クレアとの約束を果たすために、ようやくここまで来たんだものね。君は誰よりも、風に愛されているね……。
そしてプレアデス地表では、ミオとライナもまた戦っていました。最後の最後まで、敵であり続けたライナですが、ここにきてやっと……! ミオの思いが、彼をも動かしたんですね。ミオは本当に強いヒロインだよ。
こうして誓約は果たされました。清顕、イリア、ミオ、ライナ、セシル、バルタザール、そしてかぐら。「エリアドールの七人」が、まさかそれぞれ、こんなに大きな働きをすることになるなんて、初めは予想だにしていませんでしが……。この世界を動かしたのは、間違いなく彼らです。


戦争を描いている以上、別れと悲しみも多いシリーズでした。それだけに、終章にはやられました。
この笑顔が、特にあのひとの笑顔が見られて、本当に良かった。ありがとう、そしておめでとう!
最後のシリーズにして、最高傑作とあえて断言させてもらいます。大好きな作品でした。またいつか読み返したいですね。


まったく機長ったら、最後まで笑わせてくれるぜ!