まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

パナティーア異譚3 再会のクロスロード

ストーリー
異世界からの理人の召喚に巻き込まれ、ひとり見知らぬ土地に飛ばされた響子。
通りすがりの劇団に拾われた響子は、想い人の理人がこの世界で英雄と呼ばれていることを知る。
理人との再会を願いつつ、劇団の中でなんとか生活していく響子だったが……。



今回は前半が響子サイド、後半が理人サイドという構成で、離れ離れになったふたりが再会するまでのお話が描かれました。
異世界で独りぼっちになっても理人のことを信じて頑張る響子がなんとも健気……なのに、彼女はなんというか、全体的に不憫な子ですね……。
終盤では、理人さんは本当に英雄だったのだなと、ぶっちゃけ少し忘れかけていたことを改めて思い出させてくれるような活躍が見られてよかったです。


物語が始まって以来初の響子視点。こうしてみると、彼女が予想以上に理人のことを想っていたことに驚かされます。
初めこそ訳の分からない状況に情緒不安定気味だった響子ですが、理人が同じ世界にいることを知って立ち直り、旅の一座の中で自分の役割まで見出していく、意外とたくましい女の子でした。
ヒロインを助けにくるのは当然ヒーローの役割。ならばヒロインの役割は、ヒーローが助けに来るまで精一杯生き抜くこと。
想い人のことを胸に秘めて必死に頑張る響子は、他のキャラクターたちから見てもとても魅力的だったと思います。だからこそ、この展開は……ちょっと衝撃的でした。


一方、砂漠を越えて響子の手がかりを探す理人たち一行。
わずかな品物と情報、そして地球の知識を使って、ひとりの女の子を探しだしてみせるあたり、さすが英雄というべきでしょうか。
響子を助けるための、理人の八面六臂の奮闘ぶりにはテンションが上がりました。いや実際、英雄とは言うけれど、理人がどれだけ戦えるのか今まではそこまでフィーチャーされてこなかったので、改めて人の中で戦う彼を見て、なるほどと納得させられるものがありましたね。
戦いだけではなくて、アフターケアまでしっかりこなすあたりがデキる男という感じでにくい。ああ、これは惚れますわ。


そしてヒーローとヒロインは感動の再会を果たし……、と綺麗には終わらないあたりが、なんともひねくれてますね!
まあ、今回で響子にもだいぶ愛着が湧いたとはいえ、個人的にはやっぱりイシュアンの方に思い入れがあるわけで、難しいところではあります。
響子については何かと衝撃の展開が立て続けで、目が回ってしまいそうですね。今後は彼女の存在が物語の大きな鍵になってきそうです。
理人とイシュアンの関係の変化も気になるし、ああもう! 次の巻が楽しみだなあ!


パミルさんはもっと出番があって然るべきだった。