白銀の救世機3

白銀の救世機3 (MF文庫J)

ストーリー
進化し続けるXENOの脅威に晒されながらも、過酷な戦いを続けるアルツたち。
ある日、クーラが殺されたという一報が、要塞都市から逃れてきたリィザによって伝えられる。
ゾットのこれ以上の暴走を止めるため、要塞都市へと潜入する一同だが……。


完結？　もしくは第一部完？　となる第3巻。
あとがきによればそもそもこのシリーズは新人賞受賞作を3巻分に分割・再構成したものだそうで、今回は今までのストーリーが全て収束する結末となりました。
本当の敵味方がはっきりして、思いがすれ違って交錯する中、理屈を信念でぶっ飛ばす気持ちよさ。これぞロボットの醍醐味といえましょう。


伏線回収回ということで、今まで見られなかったキャラたちの真の姿があちらこちらで。
とりあえず特筆すべきはナユキさんのメンタルの弱さ！　いや、まあ、もともと強いわけではありませんでしたけど。
アルツやリステル、ミーネ、フランといったゼノイドたちが情熱を手にした分だけ、ナユキさんの方が冷めてしまったとでもいうのでしょうか。まあ、ひとりだけ生き残った旧人類として彼女なりに思うところがあるというのは理解できますが、今まで一緒に戦ってきたのは何だったのかと……。
もっとも、メインヒロインとしては二重丸ですけどね。お姫様はやっぱり1回くらい助けられる側に回らないといけません。
成長著しかったのはミーネですね。個人的にロボットにはあってほしくてたまらないある機能が、彼女のおかげで見られました。ミーネは他の誰よりも弱いかもしれないけれど、だからこそそんな彼女の頑張りは大きなものを動かせるのだろうと思います。
忘れてはならないのがゾット司令。ずっと敵なのか味方なのか判然としませんでしたが、過去の記録を通してようやく思惑が明らかに。
このあたり、全て分かった上で1巻から読み返すとまた違った味わいがあるかもしれません。


XENOとの戦いは一段落しましたが、アルツたちの物語はまだまだこれから。
次があるのかどうかは分かりませんが、彼らのハッピーエンドを願いたいですね。
ああ、エピローグでフランが一緒だったのは嬉しかったです。なんだかんだで一番好きなキャラでした。


この内容を1巻でやりきった応募作がむしろ気になる。