まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

とある飛空士への誓約2

とある飛空士への誓約〈2〉 (ガガガ文庫)

とある飛空士への誓約〈2〉 (ガガガ文庫)

ストーリー
エアハント士官学校での模擬空戦において、25戦中24勝1敗と脅威の記録を更新し続けるイリア。
それに対して平凡な戦績の清顕は、同じく撃墜王の父を持つイリアとの差を見せつけられ、焦りを感じていた。
そんなある日、清顕はイリアと共に秋津連邦の新聞社からのインタビューを受けることになり……。



はい、ネタバレに配慮して感想書きます!(←誓約)


1巻で飛空艇での大冒険を繰り広げてくれた7人ですが、今回は士官学校でのお話がメイン。
実戦ではない分、緊張感はそれほどでもないはずなのだけれど、なぜか読みだすと手の平はびっしょり、心臓はバクバク。
なんでもない日常のワンシーンであっても、裏切り者の存在のことがあるからでしょうか、これから何か悪いことが起こりそうな不安感でいっぱいでした。
一方で、前巻に比べて7人の関係が確実に近くなっていることが、あちこちの場面で見られたのは素直に微笑ましかったですね。
その中でもやっぱり、清顕と、ミオ、イリアは格別でした。
この3人は、難しいですよね。そもそも恋愛まで進めるかどうかも怪しいところですが、まあそれは置いておくとしても、ミオとイリアどちらと、というのは、実に悩ましいところです。
ミオは、本当にいい子だと思います。何より健気だし、ふたりだけの誓約のことだってあるし、彼女を応援したい気持ちも大いにあります。
一方のイリアは、清顕にとっての運命の人です。出会ってからの時間こそ少ないものの、清顕との関係の深さは、ミオにも負けていないでしょう。
またミオもイリアも不器用なもので、いかにもこわごわといった様子での清顕とのやりとりには、知らず顔がほころんでしまいました。
本当なら、何にも邪魔されない状況で、この恋の行方を確かめてみたいのですけれど。残念ながら、そうはいかないのですよね。


模擬空戦の描写はさすがの安定感。飛空機の動きもスピード感も目に見えるようだし、イリアや清顕の操縦のどこが凄いのかということが、空戦について詳しくない人間にもすっと理解できてしまうというのは、改めて凄いことだと思います。
それでいて決して説明過多にはなっていないんだから、もう感服するしかありません。もっとも、機械関係についてだけは相変わらずさっぱりですが!
飛空機での戦闘において清顕の目標でありライバルとなったのは、やはりイリア。しかしここで、清顕の成長の裏にもミオとイリアの両方が関わっているというあたりが、なんともニクい演出ですよね。
最後の編隊空戦は、熱さと美しさが一体となった素敵なものでした。兵器に乗りながら、命を奪い合うことなく自由に空を舞えることは、清顕やイリアにとってとても幸せなことなのではないでしょうか。


大きな秘密が明かされました。その内容を述べるわけにはいきませんが、これからぐっと、物語がシリアスな方向に向かうだろうことは確実だと思われます。
恐らくは、この7人が、それぞれ大きな役割を果たすことになるのでしょう。もしかしたら、一緒にいることが難しくなるかもしれません。
ここからどのようにして「世界を変革する」ことになるのか、まだ見当もつきませんが、ここは彼らのことを信じて、追いかけていくしかなさそうです。
いかんせん急転直下の展開で混乱している部分もありますので、次の巻が出るまでに、1巻から読み返しておきたいですね。


作中最強の萌えキャラはバルタザール説。