まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

黒鋼の魔紋修復士4

ストーリー
ユールローグの手の者を追い、ハイデロータの都・オーリヤックへと向かうヴァレリアたち。
一方、国王の命を受けたイサークも今回の内紛に乗り出していくことに。
ハイデロータとの関係を優位に進めるため、イサークとともに仲裁役としてユールローグへと赴く一行だが……。



ハイデロータ編の続き。いやあ、面白かった。これだ。これを待っていたんだ。
それぞれのキャラがそれぞれの良さを出していて、とても良かったです。
ヴァレリアたちアーマッド陣営はもちろんですが、クロチルドや、あのシジュベールまでが意外な魅力を発揮してくれていましたね。
主人公周辺だけでなく、こういった脇役にもきちんとスポットが当たるので、色んな方面から物語を楽しむことができるのではないでしょうか。
とはいえ、当然ながら、主人公は脇役以上に目立ってくれなくてはいけません。
初めの頃はどうも目立った活躍が見られなかったヴァレリアですが、今回は素晴らしかったですね!
ヴァレリアにはヴァレリアだからこそできることがあって、ディミタールにはディミタールだからこそできることがある。お互いの長所を正しく利用して、確実に敵を圧倒していく両者が実に格好良い。
神巫と護衛官という名目でありながらもちぐはぐだったあの頃とは違い、二人一組のコンビとして、戦えていたと思います。
それから、忘れてはならないのがベッチーナの頑張りですよね。まさに縁の下の力持ちと言えましょう。神巫たちに比べれば派手な働きではないかもしれないけれど、ヴァレリアやカリンが思う存分その力を振るえたのは、他ならぬ彼女のおかげなんですから。


思えばこの作品は、ヴァレリアたちだけでなく、コンビで活躍するキャラクターが多いような気がします。
まあつまりは、イサーク&ルキウスや、シジュベール&クロチルドの話なんですけど。
どちらも、王族である団長に優秀な副団長という構図ではありますが、行動や考え方に微妙な違いがあって面白いんですよね。
イサークは、胸の内でとんでもない陰謀を巡らせていそうな印象とは裏腹に、思っていたよりもかなり危なっかしくて、ルキウスさんも大変だなとしみじみ。
まあ、今回が初陣ということでしたし、彼もこれから経験を積んで、さらに羽を広げていってくれることでしょう。
それから、ヴァレリアではありませんが、クロチルドの想いには全く気付きませんでした。身分どうこうは置いといて、お似合いだとは思います。しかしこうなると、一層マレーナの立場がないですね! あなたはずっと周りに愛されるマスコットでいてください……。


ハイデロータとユールローグの戦いはひとまず決着したものの、万事解決とはとても言えない状況です。
ラムピトーに関しても、これで終わりとはとても思えませんし、終章ではまた新たな火種が出てきたようですしね。
今度はどこに派遣されることになるのやら、といった感じですが、どんな展開が待ち受けているにせよ、これからもヴァレリアの目一杯の活躍に期待です。
次は短編集のようですね。ディミタールの過去が描かれるということで、これはこれで楽しみです。


一番謎に包まれているのはルキウスさまではなかろうか。