まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ココロコネクト ミチランダム

ココロコネクト ミチランダム (ファミ通文庫)

ココロコネクト ミチランダム (ファミ通文庫)

ストーリー
異常現象『感情伝導』に巻き込まれたものの、いつも通りに過ごそうと誓う文研部5人。
現象が始まって一週間経ったバレンタインデー前日、太一は正式に伊織に告白する。
しかし伊織の返事は、太一にとって思いがけないもので……。



アニメの放送も始まったということで、追いつかれる前に先に進まなきゃと思い、読んでみたのですが……。
重い! 重いよ! 愛と青春の五角形「コメディ」はいったいどこにいっちゃったの!
いやあ、今までのお話も、それぞれ陰鬱な部分がありましたけれども、今回は出だしから終盤まで巻を通してずっと重苦しくて、読むのに3日くらいかけてしまいました。
読み終わってみるとそれなりに清々しいから、毎回うっかり騙されそうになるけれど、今度こそは騙されない! このお話はコメディではありません!
もうちょっとこう、楽しいコメディパートがちょいちょい挟まってくれると、だいぶ気楽になるんですけどねえ。


シリーズ中でも一番の暗さをもたらしてくれた犯人は伊織。いやあ、常々、一番あやういのはこの子だろうと思っていましたよ……。
太一と伊織と稲葉の歪んだ三角関係がとても気持ち悪くて素敵です。高校生のときからこんな恋愛していて楽しいんですか。少しは青木と唯のことを見習ってみるといいですよ。見てくださいよこの安定感。和む。
結局、伊織がこうなってしまった理由については、分かったようでいていまいち分からない部分が多いんですよね。
なんというか、色々と“共感”の域を超えちゃっている気がします。伊織のようにキャラクターを演じてきた経験はないので、こんな気持ちを理解しろと言われても正直困る。
だからこそ、遅れに遅れて、しかも『感情伝導』の助けがあったにしろ、彼女のことを引っ張り上げることができた太一と稲葉は凄い奴らなんだろうと思います。


いつも通り、終わって振り返ってみれば、問題の解決方法なんて簡単なことでした。
ううん、回りくどい。重い荷物を背負っているのに、通らなくてもいいチェックポイントをわざわざ全部通って、コースを20周くらいしてからやっとゴールにたどり着いた、そんなイメージ。
ほんと、どうしてここまで不器用なの。読者視点から見ているから気付けることもあるのかもしれないけれど、いくらなんでもすれ違いすぎではありませんか。
物事を深く考えないたちの私としては、単純にかったるく思えてしまいます。この回りくどさが青春の味だというのなら、あんまり美味しくいただけそうにはありません。
まあその分、抜けだしたときの爽快感は確かなものがありますが。とりあえず稲葉がひたすらに可愛いのでよしとしましょうか。もう結婚しちゃえばいいのに。


太一の妹主人公で外伝を1本お願いしたい。