織田信奈の野望

織田信奈の野望 (GA文庫)

ストーリー
気がつくと、なぜか戦国時代の合戦の真っ最中に飛び込んでしまっていた高校生・相良良晴。
信長に仕官するつもりで織田軍の本陣へ向かった良晴だったが、そこで出会ったのは織田信奈と名乗る姫武将だった。
とまどいながらも、信奈配下の足軽としてこき使われることになった良晴だったが……。


ずっと読もう読もうと思っていたのに読めずにいたところ、アニメの放送が最後のひと押しになってくれて、ようやく手に取ることができました。
残念ながら戦国時代史には詳しくないのですけれども、そこは超有名武将・織田信長のこと。知っているエピソードもいくつか登場して、そのあたりは特に楽しく読めました。戦国時代が好きな人はもっとニヤニヤしながら読んでいるのでしょうね。
武将のほとんどが女の子になってるわ、良晴が秀吉の代わりになってるわ、結構な無茶苦茶をやっているのですが、それでいて歴史上の重要な事件は意外としっかり追いかけているようです。
どこまで歴史に忠実にいくのか、どこまで歴史を壊していくのか、この微妙なバランス感覚が面白いと思いますね。


とりあえず突っ込みたいのは、良晴さんの、類まれなる適応力の高さ。
いやいや待て待て。いきなり戦国の戦場にポンと放り出されて、よくもまあ平然としていられるな！
基本的に何も考えていないんでしょうかこの人。いえ、ノリと勢いだけで突っ走っていくこの感じ、決して嫌いではありません。
なんといっても一歩間違えば斬られる時代ですから、もし良晴が本当の戦国時代にタイムスリップしていたのなら、きっとあっさり斬られてしまっていたことでしょう。パラレルワールドで良かったね。


早くもたくさんの登場人物が出てきていますが、キャラクターをいちいち覚えなくても、なんとなく分かってしまうのが歴史改変もののいいところです。
勝家さんや犬千代もそれぞれ魅力的だけれど、やっぱり圧倒的オーラを放っているのはメインヒロイン・信奈様ですね！
信奈様にサル呼ばわりされ、足蹴にされ、顎で使われる。なんと羨ましい立場なんでしょうか。代わっていただきたい。ドッジボールが上手くないからだめですか。そうですか。
軒並み女の子化している武将たちの中、ひとりだけ渋み走ったオヤジのままで登場してきた斎藤道三がいいキャラしてました。ただのエロジジイにも見えますけど、周りみんな美少女なんだから仕方ないよね！


読み終わってからWikipedia先生で色々調べたところ、存外に歴史通りの部分が多くて驚かされます。
織田信長というと、やっぱりクライマックスはあの大事件ですが……。こちらの世界ではどのように歴史が進んでいくのか、実に興味深いところですね。
未来人としての知恵を頼りにして、良晴がどんな風に活躍していくのかにも注目です。早いところ2巻も読んでしまうとしましょう。


イラストはみやま零さん。モノクロイラストの目に力があっていいですね。
勝家の甲冑は特注品なんだろうな……。


義理の妹に貰う。その発想はなかった。