まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

竜と勇者と可愛げのない私6

竜と勇者と可愛げのない私〈6〉 (電撃文庫)

竜と勇者と可愛げのない私〈6〉 (電撃文庫)

ストーリー
バハムートと呼ばれる超戦闘体を身にまとい、ついに現れた魔王メイ=ヘム。
圧倒的な魔王に対抗するため、レックスは改めて竜騎士になることを決心する。
三つの竜宝玉を得た一行は、最後の一つを持つレイヴェンに会うべく、コスモスの街へと向かうが……。



いよいよ倒すべき最大の敵・魔王がその姿を現しました。
特に魔界に行く気配もなく、魔王の娘よりももっぱら人間と戦っていた印象があるので、魔王を倒すなんていう実感があまりなかったのですが、こうやって目の前に出てこられると違うものです。
と言っても出てきた魔王はあまりに圧倒的すぎたし、ひと言も喋りもせずにいなくなってしまったしで、やっぱりまだそれほど、実感は湧かないんですけどね。
確かにレックスもアンジュもトモエも強くなってきていることは確かですが、本当にあれに勝てるんでしょうか? 甚だ疑問ではあります。
新たに登場したふたりの魔王の娘たちも気にかかるキャラですね。イングヴェルデはまだしも、クリームヒルトはいざ戦うとなったら危険な相手になりそうな予感がします。


実は魔王というのは飾りのボスにすぎなくて、真のラスボスはレイヴェンなのだろう!
……なんて思っていた時期もありました。ここでどんでん返しが来るとは思っていませんでしたね。
誰が味方で誰が敵なのか、レックスやアンジュの立場は微妙なところにあるから、ある程度決着が着くまで分からないのです。そこがまた面白いところなのですけど。
竜騎士になるという、今までずっと追いかけてきた目的。達成直前になってようやくその秘密が明かされるように仕組むあたり、レイヴェンも意地が悪い。まあ、竜王よりはずっとマシですか。
アイカさんの再登場は嬉しかったです。正直ちょっと忘れかけてました。ごめんなさい。
これほどまでに壮絶な過去を持つ彼女が、レイヴェンのために一途に働くのはなぜなのか。その気持ちを思うと、少しだけ胸が痛みます。
しかしこうなってくると、人魔戦争の部分も外伝で読みたくなってきますねえ。レイジャック以上に、カグヤの活躍が見てみたいものです。


アンジュとレックスの絆は、巻を追うごとに一歩一歩確かに深まってきていて、ほっこりします。
ようやくアンジュが自分の気持ちを認めたのはとても大きな出来事でした。あとはレックスが気付いてあげればいいだけですよ!
吹っ切れたアンジュさんは今まで以上に可愛くて可愛すぎてきゅんきゅんしました。そろそろ本格的にタイトル詐欺で訴えられてしまうね。
ふたりの距離が縮まったからなのか、今回のバトルでは「一緒に戦っている」感じがより強まっていたように思いました。
相変わらず、自分の命を燃やして戦い続けるアンジュが不安でなりませんが、レックスと共にいたいという気持ちがあれば、少しは変わるのかなあ。
アンジュもレックスも、相手のことと同じくらいに自分を大切にしてくれれば、きっと見えてくるものがあるのでしょうけれど。


久しぶりのキャラたちと合流して、さあ、真の戦いはこれからですね。
新たな力を得たとはいえ、立ちはだかるのは強大な魔王とその娘たち。果たしてアンジュたちに勝ち目はあるのでしょうか。
魔王だけではなく、竜王や、しぶとく暗躍を続けるあの人がどう関わってくるのかも気になるところ。
ますます盛り上がってくれるであろう展開を前に、次巻が待ち遠しい。


まさか略称が『ととげ』とは……ま、まあ語呂は悪くないんじゃないですかね。ととげっ!