まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

僕と彼女と幽霊の秘密

僕と彼女と幽霊の秘密 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 き 2-2)

僕と彼女と幽霊の秘密 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 き 2-2)

ストーリー
二年前、目の前で発生した交通事故で、親友・瑠璃を失った小谷桃果。
それ以来桃果は、幽霊となった親友が常にそばにいて、自分を守ってくれている気配を感じるようになった。
高等部に進学した桃果は、幽霊を見ることのできる男子生徒・結城クロと出会い……。



僕と姉妹と幽霊の○○で変えていくのかと思ったら、姉妹が彼女に変わってました。
幽霊をカノジョと読ませているので、カノジョがふたつかぶっちゃってますが、まあ、今回のメインは桃果とルリですから、これもアリ。
というわけで、新キャラ・桃果が主人公です。結城きょうだいも活躍しているけれど、最初から最後まで桃果のお話でした。
期待していたクロと紫音の物語は、ひとまずおあずけのようですね。


事故で親友・ルリを失って以来、かたくななまでに感情を押し殺し、閉じ込めてきた桃果。
彼女は、幽霊を生き返らせるためにオカルト研究部を作ろうと、ひとり奔走します。
クロたちと出会って、少しだけ明るさを取り戻したかと思ったら、また逆戻り。
死んでしまった友人のために、笑顔も出さず、必死に空回りを続ける桃果の姿は、とても痛々しくて見ていられません。
ルリのことを考えると、自分が幸せになってはいけないと思い込んでしまっている。ルリならきっと、桃果には幸せでいてほしいだろうに、それは許されないと、自分で自分を縛ってしまっている。
事故の状況から、桃果の気持ちも分かるけれど、それでは、桃果自身の人生があまりに寂しすぎます。
自分のためにも、ルリのためにも、過去ばかり見つめずに、未来が見られるようにならなければいけなかった。
そして、そんな桃果を変えたのは、クロたち結城きょうだいでした。


前回も魅力たっぷりだった藍子、緋色、黄ですが、今度も相変わらずの大活躍。
なんといっても緋色が格好良かったですね。もともと桃果の知り合いだった彼女は、普段は隠れがちな優しさを存分に発揮していて、すっかり頼れるお姉さんといった具合。
かと思えばちょいちょい、弟愛に溢れた失言が飛び出したり、弱点がばれたりして、可愛らしい部分を見せてくるからたまりません。このギャップはちょっとずるいんじゃないかな!
切ない物語の中で、ひときわ明るく輝いて、雰囲気をほっとさせてくれたのが黄。
無邪気で跳ねっ返りの末っ子らしく、兄や姉にはできない方法で桃果にアタックをかける黄が、もしかしたら一番、桃果の心を解きほぐしたのかもしれません。評判のほっぺをぜひとも触ってみたいものです。
藍子はいつも通りふわふわしていて、そこにいるだけで安心感があったし、三人それぞれ、本当に素敵な姉妹ですね。こんな姉や妹に囲まれて、クロは恵まれているよなあ。


まさか、1巻に続いて、こんなどんでん返しを用意しているとは思いませんでした。
桃果としては複雑だったかもしれないけれど、最後には、ちゃんと笑って一歩を踏み出すことができて良かったと思います。
エピローグの宣戦布告がまた微笑ましい。ぜひともいつか、ふたり揃って恋の戦いを繰り広げてほしいものですね。あ、緋色も参戦するのかな?


緋色の足の速さにあ然。そりゃあ陸上部も嘆くわ!