まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

“若紫” ヒカルが地球にいたころ……(3)

ストーリー
ヒカルの次の“心残り”は何と、九歳・小学四年生の美少女、紫織子だった。
見かけによらずしたたかな紫織子に弱みを握られ、ヒカルにも頼み込まれて、しぶしぶ彼女の面倒を見ることにする是光。
ところが紫織子は、大金を稼ぐため、大物を狙った“雀狩り”を企んでいて……。



ご覧あれ、この圧倒的なヒロインのインパクト!
ということで、今回のヒロインは小学四年生のしーこちゃんです。まあ待ってください。とりあえず落ち着きましょう。言いたいことは分かります。
いくら全ての花を愛するヒカルさんといえど、これはアウトではないのか。いやまだ決め付けるのは早い。ほら、父性とか、いわゆるそういったものだという可能性も「バージンをもらってくれるの……ね」(by紫織子)完全にアウトだこれー!!
考えてみれば元ネタの源氏物語からして、光源氏さんは結構な暴走特急でした。そんな彼がモデルなのだから、仕方ない。仕方ないですよね。
そんなぶっ飛んでるヒカルさんは置いておいて、しーこ本人もだいぶぶっ飛んでるお子様です。
初対面の是光をだまして脅すその手腕にも驚きましたが、それどころかこの9歳、雀狩りと称しておじさんを釣り上げては金銭を巻き上げておりました。
悪女だ! 悪女がここにいる! なんて危険極まりない女の子なんだ……。
若紫のイメージが変わってしまいかねないほどの悪女っぷりですが、逆にそんなところに惹かれるものを感じます。ロ、ロリコンちゃうわ! しーこの頭なでなでしたいし喜んで犬になるけれどロリコンちゃうわ!


もっぱら説教しているとはいえ、9歳の女の子を攻略しようとしているわけですから、当然のようにロリコン疑惑が浮上。
ああ、学校での是光の評判が毎巻着実に下がっていっている気がするよ……。
毎度のことながら、これだけ不当に評価されつつも、ヒカルのために、女の子のために、自分を投げ打って行動できる是光さんは本当に格好良いと思います。人間見た目じゃあ分からないものですね。
ただでさえ告白直後でテンパっているのに、そこに是光のロリコン疑惑などが降ってわいて、焦りを隠せない帆夏が可愛いです。
なんだかんだ言ってベタ惚れじゃないですかこの子。全て分かって楽しんでいるヒカルと、何がなんだかまるで分かっていない是光との差が面白い。純朴だなあ、是光。
そもそも是光は夕雨とのことがあったばかりで、まだ心の整理ができていないんじゃないかと思うのですが、彼の中で帆夏がどのように存在になっているのかは気になるところですね。


とある理由から、いい人であることを嫌がり、あくどいことでお金を集めようとしていたしーこ。
ちょっと大人びていても、やっぱり彼女はひとりの9歳の女の子に過ぎなくて、周りの人の助けがなくては生きてはいけません。
いい人を拒絶し続けてきた彼女の目に、赤城一家はどのように映ったのでしょうか。
ぶっきらぼうだけれど、みんなしーこのことを気にかけてくれて、心配してくれて、優しく見守ってくれる家族。
是光だけではなくて、小晴や正風も、しーこの心を動かすのに一役買ったのだと思います。
赤城家での一幕は、まるでしーこが本当の家族であるかのように見えて、胸がほっこりと温かくなりました。
そんな温かさに触れながらもなお、突っ走ってしまったしーこですが、そこはもうヒーローの出番。
まさかの相手からの叱咤激励を背に走った我らがヒーローは、最高に輝いていました。これは惚れるよ。しょうがないよ。


万事ハッピーエンドで終わるかと思いきや、最後にまた大きな爆弾が。
そう来ましたか! 個人的にはぜひ応援していきたいのですが、もうひとりのことを考えると、なんとも複雑な気分ですね。
ますます加速していく恋愛模様から目が離せません。ああ、早く次が読みたい。
次巻のヒロインは“朧月夜”、春の終わり頃の刊行だそうです。待ちきれませんね。楽しみです。


最強のツンデレは正風じいちゃんだった……?