まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

聖剣の刀鍛冶11

聖剣の刀鍛冶  11 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶 11 (MF文庫J)

ストーリー
ルークの変調をリサから明かされたセシリー。
頑なに隠そうとしているルークだが、セシリーとリサは互いに彼を支えることを心に誓う。
ルークとの関係をどのようにすべきか悩んだセシリーは母に、亡き父との馴れ初めを聞くことにする……。



1年ぶりの新刊。前巻が大変気になるところで続いていたこともあり、首を長くして待っていました。
色々な女性キャラを主人公に据えた掌編が4本含まれる第25話「女たち」、セシリーが大きな一歩を踏み出す短編の第26話「刀と鞘」が入った、短編集のような構成になっています。
大きなバトルはありませんが、各国や各キャラの状況整理、そしてふたりの進展という意味で、重要な巻になったのではないでしょうか。


セシリーの両親の馴れ初め話では、若き日の母・ルーシーさんの押せ押せっぷりに惚れ惚れ。
今でこそ物腰のどっしりした、威厳のある人だけれど、ルーシーさんにもこんな少女時代があったんだなあ。
この行動力と、思い込んだら一直線なところは、まんまセシリーですよね。
性格は父親に似てると言われているセシリーですが、しっかり母親の中身も受け継いでいるじゃないですか。
お互いに嫌々だったお見合いから恋が生まれて、好き合ってはいるけれどそれを伝えられなくて、という恋模様にきゅんとしました。短編でやるのはもったいないくらい。
このふたりの新婚生活とか、ぜひとも見てみたいのですが、外伝か何かでやってくれないかなあ。


軍国のゼノビアとシャーロットの話は、4本の中でも特に好きな1編ですね。
そもそも私、ゼノビア様が大好きなのですよ。最近あまり出番がなくてしょんぼりしていたので、こんなところで活躍してくれるのはとても嬉しいです。
シャーロットも、軍国に渡って以来いまいち目立っていませんでしたが、彼女も彼女なりに、ゼノビアの片腕として頑張っているのだということが分かってほっとしました。
王様が身分を隠して城下町を歩き回るというのは、ベタながら実にわくわくするネタですよね。
シャーロットの人の良さ、ゼノビア様の器の大きさがよく表れているお話でした。
ゼノビア様なんてほんの12歳なのにねえ。王として立派に振る舞いながらも、子どもらしい無邪気さも忘れていないところが、素敵なんですよね。


セシリーとルーク。
思えば初めから、本当に素直じゃなかったふたりだけれど、ようやくここまでたどり着きましたか。
あれこれ思い悩むのは構わない。でも、やるときは思うままに走り抜けてこそのセシリーです。よくぞやってくれました。もう少し時と場所を選んでも良かったんじゃないかと思いますが、セシリーはこうじゃなくっちゃね!
この公開ショーを聞かされていた街の人々の心情やいかに。まあ、彼女たちなら恨まれるようなこともないでしょうが……。
最後のルークのひと言がまたひどい。なんなのもう。ばかじゃないの。悶え死ぬわ!
まだまだ未来は暗いけれど、何が降り掛かってきても、このふたりなら乗り越えていけるでしょう。
おめでとう。


コンプリートブックは読んでないなあ。幼なじみカップルにニヤニヤしたのでぜひ読みたい。