まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

機巧少女は傷つかない6 Facing "Crimson red"

機巧少女は傷つかない 6 Facing “Crimson Red

機巧少女は傷つかない 6 Facing “Crimson Red" (MF文庫J)

  • ストーリー

夜会を勝ち抜くため<紅翼陣>体得の修行に励んでいた雷真は、硝子からとある人物の内偵を命じられる。
その人物とは、四年前の前回夜会の勝者である<迷宮の>魔王、グリゼルダ・ウェストンだった。
学院から出られない夜々の代わりに、小紫とともにグリゼルダのもとに向かう雷真だったが……。


なんだかんだでちょいちょい新ヒロインが登場してくる今作品。
次のヒロインはなんと、前の夜会で優勝した魔王・グリゼルダです。
いやあ、遂に魔王が出てきてしまいましたか。マグナスやら学院長やらといった怪物のような魔術師がまたひとり、そしてまたひとり。
といっても、グリゼルダは他の魔王とは違い、領地を守って堅実に暮らしている真面目な女性です。
まあご多分にもれず、すぐに話を性的な方向に持って行こうとするわけですが。なんでこんなヒロインしかいないんだろうね!
今回の雷真のお供は小紫。夜々やいろりとは違ってトリッキーな魔術で翻弄する戦い方が面白いですよね。
一方の夜々は学院でお留守番。また雷真が危険に晒されているのに、一緒にいることができなくて苦しむ夜々の姿にはぐっとさせられます。


リアルタイムでの夜々との絡みが少ない分、過去の回想がちょこちょこと。
出逢ったばかりでまだ仲違いしていた頃の雷真と夜々が、どのように距離を縮めていったのかが描かれました。夜々分はこちらで補給しろということですね。
雷真を蔑んだ目で見たり、お使いに嫌々同行したり。今の夜々からはずいぶんとかけ離れていて新鮮です。
仲良くなった方法も、いかにも雷真らしいと言いますか。昔から無茶ばかりしているんだなあ。
出来たての相棒はちょっとぎこちなかったけれど、ここからふたりの関係が始まったのだと思うとなんとも微笑ましいですね。


小紫と、グリゼルダの自動人形・イプシロンのふれあいは印象的でした。
偉大な姉ふたりにコンプレックスを抱いてしまい思い悩む小紫を、持ち前の明るさでやる気にさせるイプシロン
子供っぽさばかりが目立っていた小紫も、少し精神的に成長したのかなと思います。
自動人形同士、とてもいいコンビだったのですが、ああ……。胸が痛い。
意外とこういうのを入れてくるから油断ができないんだよなあ。


もちろん成長したのは小紫だけではありません。グリゼルダにしごかれ、小紫の機能を知ることで、雷真はまた一歩先へと進みました。
最後の夜会での戦いっぷりは実に爽快でしたね! 雷真だけではなくてフレイやロキも。
そして、いろりや小紫も素敵だけれど、やっぱり雷真には夜々が一番似合うなあとしみじみ思いました。
だってこのコンビ、格好いいんだもの。そりゃもう、圧倒的に。
まだ遠いとはいえ、いつか<紅翼陣>を手にしたらどれほど強くなるのでしょうか。今からわくわくが止まりません。


無事に夜会が再開し、いよいよ盛り上がってまいりました。
最強の敵マグナスまで、どんな相手と戦っていくことになるのか、実に楽しみ。ロキやフレイとはいつまで共闘を続けるんでしょうね。
あと、夜会以上に熱くなりつつある雷真さんを巡る戦いにも注目です。


夜々になら見下されて罵られてもいい。いやむしろぜひお願いします。できればその後のデレも込みで。