まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

変・ざ・くらする〜む

変・ざ・くらする?む (富士見ファンタジア文庫)

変・ざ・くらする?む (富士見ファンタジア文庫)

  • ストーリー

友だちをたくさん作って青春することを目標に転校してきた少女・上野ちひろ。
手下をたくさん作って世界征服することを目標に転校してきた少女・渋谷いづみ。
そんな二人が出会ったのは、とにかく“変”な経歴の持ち主ばかりが揃った、鈴木高校2年ゐ組だった……。


イラストに一本釣りされて手に取りました。
日常系を謳ってますけど、に、日常? いや、まあ、日常か……。
まったりとした部分もありつつ、基本めちゃくちゃな設定が楽しいお話でした。


とにかく登場するキャラがユニークです。
やっていることは教室でおしゃべりしているだけなんですけど、突飛なキャラが入れ替わり立ち代わりで出てくるので結構カオス。
とりあえず個性的なキャラを出して話を回すって4コマ漫画みたいな手法ですね。偏見かな。
主人公のちひろは、友だち作りに文字通り命を賭けていることを除けば、いたって普通の女の子。
周りがとにかく変な人たちばかりなので、普通であることが逆に、かけがえのない個性に見えてきます。
いじられキャラであり、貴重なツッコミ役でもあります。だんだん鋭さを増していくツッコミがとてもいいですね。
もうひとりの主人公・いづみは、世界征服とかなんとか言いながら、中身は真面目な常識人です。
わりと本気で世界征服を目指しているようですけど、やり方がいかにもちゃちで、実現性皆無。
とことん普通を貫くちひろに比べて半端にキャラ付けされてる分、どうも目立てていないような気がするのが不憫というかなんというか。
ぶっちゃけて言うならば地味です。ちひろの方がよっぽどカリスマ性があるように見えますが、これからの巻き返しに期待ですかね。


エロ小説家や男の娘まではまだいいとして、歴戦の傭兵だの殺し屋だの、死の商人だのが普通にいるクラスって何。
傭兵だったらもう少し落ち着けとか、そんな簡単に兵器輸入するなとか、ツッコミどころだらけでうずうずしてしまいます。
そんなところは気になって仕方がないのに、異能戦士とか魔族とかの方はわりと自然に受け入れてしまえるんだなあ。ライトノベルの不思議。
特に魔族の浜松プラスコヴィーヤなんかは高圧的な態度と寂しがり屋な部分とのギャップがとても可愛らしいキャラですね。名前はだいぶひどいけど。


キャラで押し切るだけかと思いきや、軽快な会話ギャグなんかもあって笑わせてくれました。
まだまだキャラは増えそうだし、既出のキャラの掘り下げもあるだろうし、物語はまだまだこれからという感じですね。
かなりいいところで終わったので続きが気になります。楽しみ。


イラストは異識さん。ほのぼのギャグにぴったりの絵柄ですよね。
表情豊かなキャラがとても好きです。


珠果が腹黒に見えてしまって仕方ない。絶対計算してるよねこいつ。