まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ゼロの使い魔20 古深淵の聖地

  • ストーリー

なんとかエルフの追っ手から逃れた才人たちは、ルクシャナの導きでとある島を訪れる。
この世界の生き字引といわれる水韻竜に会って話を聞くが、有益な情報は得られず、やきもきしながら過ごすことに。
ある時、暇つぶしに海に潜っていた才人は、巨大な潜水艦とそこに積まれた最後の“槍”を発見するが……。


ここに来てテファの本気がひどい。
自分の気持ちに気付き始めたこのハーフエルフ、ルイズがいないのをいいことにやりたい放題。ハハハ、バカじゃねえの(褒め言葉)。
無邪気なテファはとても可愛らしいのですが、困ってしまうのが才人です。
ルイズ悲しませたくない一心で頑張る才人だけれど、理性にも限度というものが。いやいや、才人はよく耐えていると思いますよ、本当に。
とまあ、つかの間の休息とばかりにラブコメしている才人たちですが、未だ先行きは暗く、目的地さえも分からない状態。
大きすぎる力を手にして扱いに悩む才人、今を幸せだと思ってしまう自分に罪悪感を感じるテファ。
そしてちょっとしたすれ違いから起こる事件。重く苦しい展開が続きます。
才人は一生懸命やってるし、テファを守って戦う姿は格好いいけれど、どこか弱いというか、覇気がないというか、調子が良くないように見える。
やっぱり才人は隣にルイズがいてこそ輝くのだなと改めて感じました。もちろん、その逆もそうですが。


一方のルイズは妙に落ち着いた雰囲気。
今まで何度も離ればなれになりましたけど、そのたびに少しずつルイズは強くなってきているよなあ。
才人のことを信じてじっと前を見据え、みんなの前で不安を見せようとしないルイズは健気ではかなくて、なんだか泣けてしまいます。
それでも、長い間共に過ごしてきた仲間たちには、彼女が不安に押しつぶされそうになっていることがよく分かっていました。
そんな強くて弱いルイズを気づかい、慰めようとする仲間たちとの交流が温かくてとても素敵です。
あのルイズが、エレオノール姉さまやマリコルヌと、普通の友達のように馬鹿話に興じている。
ちょっと前までは考えられなかったようなことで、笑いながらも思わずじんときてしまいました。
そしてやっぱりルイズにとって特別なのは、シエスタなんですね。
常に恋敵であり、良きライバルであり、身分の差を超えてお互いを認め合った相手だからこそ、本当にルイズを励ますことができる。
思う存分悪口をたたき合いながら、一緒にいると元気になれる、こういう関係を親友と呼ぶのではないかと思います。いいものだな。


ギャグも相変わらずのキレの良さだったし、いざという時のルイズの輝かしさ、格好良さも素晴らしく、一気に読んでしまいました。
ちょっとひいき目の部分もあるかもしれないけど仕方ないよね、だって大好きなんだもの。
始祖の秘密がどんどん明かされつつあり、いよいよ最後の謎とも言うべき第4の使い魔の出番。
本格的なクライマックスに向け、まだまだ盛り上がっていくストーリーが楽しくてたまりません。


今回で20巻を数えるこの作品ですが、どうやら22巻で終わりを迎える予定のようです。
ずっと私の一番であり続けたこの作品とお別れするのは本当に淋しいけれど、最後まで、ゼロの使い魔らしく、突っ走って欲しい。
次の巻も心待ちにしています。楽しみです。